漫画やアニメを原作とした実写化映画では、キャラクターの再現度が作品の評価を大きく左右するといっても過言ではない。原作ファンはもちろん、新たに作品に触れる視聴者にとっても、そのキャラクターがいかに“原作そのまま”であるかは、物語へ没入できるかどうかを決める重要なポイントだ。
実写化作品が次々と生み出される中、原作へのリスペクトを胸に、細部までこだわってキャラクターに命を吹き込む女優たちがいる。特に外見などに強い個性を持つキャラクターを演じた際に視聴者にもたらされる衝撃は大きく、時を経てハマり役として語り継がれることも少なくない。
そこで今回は、数ある実写化映画の中でも圧倒的な完成度で視聴者を魅了した女性キャラクターたちを5回にわたってピックアップし、その再現力の高さを振り返っていく。
【第4回/全5回】
■ビジュ最高値!菜々緒さんが体現した再現度100%の来島また子
2004年から『週刊少年ジャンプ』で連載されていた空知英秋さんによるSFギャグ漫画『銀魂』。黒船の代わりに宇宙船が訪れた江戸のかぶき町を舞台に、万屋の主人・坂田銀時と志村新八、神楽らが送るドタバタな日常を描いた作品だ。
頭を空っぽにして笑えるギャグや攻めたパロディネタが満載でありながら、ときに心を揺さぶるシリアスなエピソードも盛り込まれ、その振り幅の大きさは多くの読者を夢中にさせてやまない。
2017年には、小栗旬さんを坂田銀時役に迎えて初の実写映画が公開された。物語は原作のギャグエピソード「カブト狩り」とシリアスエピソード「紅桜篇」をまとめたものとなっており、笑いとかっこよさが融合した新しい魅力を感じられる作品となっている。
その「紅桜篇」で抜群のプロポーションを惜しげもなく披露し、強烈な存在感を放っていたのが、来島また子を演じた菜々緒さんだ。また子は、高杉晋助(堂本剛さん)率いる鬼兵隊の精鋭メンバーで二丁拳銃を操る実力派。金髪ヘアにヘソ出しのミニ和服という派手で露出度の高い衣装をまとい、語尾に「〜ッス」をつける口調も相まって全体的に個性が強いキャラクターである。
菜々緒さんは、そんなまた子の衣装や髪型を完全再現。身長172センチ、股下85センチという驚異のスタイルでミニ和服を軽々と着こなし、原作以上の存在感を放ちながらスクリーンを駆け回った。また子の衣装は一見シンプルだが、全身のバランスが非常に難しいため、ここまで完璧に着こなせる女優はそう多くないだろう。
クセの強い語尾に関しても「ッスという言葉をほとんど口にしたことがないので発音の仕方などが不安だった」と振り返っていたが、何度も繰り返すうちに染み込み、撮影が始まると自然と使えるようになったという。この細かな役作りも、菜々緒さんの才能あってこそだ。
劇中では独特の口調で万屋一行に噛みつく一方、神楽(橋本環奈さん)にパンツネタで煽られて本気で怒るという原作通りのコミカルな姿も披露。怒りながら必死に否定する表情や動きは、原作漫画そのまま。さらに、声のトーンや出し方に至ってはアニメ版のまた子を思わせる再現度だった。
さらに、菜々緒さんは銃を使った華麗なアクションシーンにも挑戦。激しい場面ではスタントダブルが起用されており、公開前のインスタグラムにはまた子と同じ衣装と髪型をした男性俳優との2ショットも投稿された。
これは菜々緒さんと同じほどの身長でこなせる女性スタントがいなかったため、ドラマ『サイレーン』でもスタントを務めた俳優が再び抜擢されたそうだが、その背格好はとてもよく似ている。俳優にすね毛を剃ってもらったという美脚までそっくりで、ファンから驚きの声が寄せられたのも納得である。
また子というキャラクターを見事に実写へと昇華させ、個性派だらけの『銀魂』で強い存在感を放った菜々緒さん。役に入り込むその熱量は、多くのファンの心に強い印象を残したに違いない。


