漫画やアニメを原作とした実写化映画では、キャラクターの再現度が作品の評価を大きく左右するといっても過言ではない。原作ファンはもちろん、新たに作品に触れる視聴者にとっても、そのキャラクターがいかに“原作そのまま”であるかは、物語へ没入できるかどうかを決める重要なポイントだ。
実写化作品が次々と生み出される中、原作へのリスペクトを胸に、細部までこだわってキャラクターに命を吹き込む女優たちがいる。特に外見などに強い個性を持つキャラクターを演じた際に視聴者にもたらされる衝撃は大きく、時を経てハマり役として語り継がれることも少なくない。
そこで今回は、数ある実写化映画の中でも圧倒的な完成度で視聴者を魅了した女性キャラクターたちを5回にわたってピックアップし、その再現力の高さを振り返っていく。
【第1回/全5回】
■ダイナマイトボディを披露した深田恭子さんのドロンジョ様
2009年3月7日に公開されたタイムボカンシリーズ初となる実写映画化『ヤッターマン』。三池崇史監督のもと、1977年放送の同名アニメを可能な限り忠実に再現することに力を注ぎ、主人公・高田ガン役に櫻井翔さん、上成愛役に福田沙紀さんを起用している。
アニメさながらのコミカルなやり取りや迫力あるアクションをふんだんに盛り込み、ファンの期待に応える仕上がりとなった本作でひときわ存在感を放ったのが、ドロンボー一味のボス・ドロンジョを演じた深田恭子さんだ。
女王様のような風格とどこか抜けた可愛らしさを併せ持つドロンジョは、赤と黒を基調にしたボンテージ風のボディスーツ、大きなマスクとマント、さらにニーハイブーツという刺激的なビジュアルが最大の魅力。その大胆な外見も相まって、アニメ時代から高い人気を誇っており、実写化では特に注目を集めていたキャラクターだ。
深田さんとドロンジョには、抜群のスタイルという共通点がある。ゆえにボディラインを際立たせる衣装を身にまとった姿は、まさにアニメから飛び出してきたかのようなリアリティ。公開当時から、その姿に称賛の声が集まっていた。
それもそのはず、深田さんは原作のドロンジョの魅力を最大限に引き出すべく、自ら衣装に細かいディテールまでリクエストを出し何度も改良を重ねてあの衣装を制作したという。そうやってこだわり抜かれた衣装の制作費は、キャスト全体で5000万にも及んだというから驚きである。
作中ではコミカルさも原作そのままに再現し、ボヤッキー(生瀬勝久さん)やトンズラー(ケンドーコバヤシさん)とのテンポのいい掛け合いで幾多の笑いも生み出した。さらにはその流れで、3人が歌うテーマソング「天才ドロンボー」に合わせたダンスも披露。絶妙に力の抜けた振り付けとキュートな歌声に、視聴者からは「深キョンがかわいすぎる」といった声が相次いだ。
そして、忘れてはならないのがお色気シーンだ。中でも話題をさらったのがバスタイムシーン。1号への恋心を募らせるドロンジョが、ドクロマークに囲まれたポップでキュートなバスルームで見せた艶っぽい表情とチラリズムに、ボヤッキーらと同じように思わず釘付けになった視聴者も多かったことだろう。
アニメでも絶大な人気を誇るだけに、実写化に際しては期待と不安の声が寄せられていたドロンジョ。しかし深田さんは妖艶なビジュアルだけでなく、ときにコミカルにときにアクティブにドロンジョの持つ魅力を完璧に再現した。その姿は多方面から評価され、ブルーリボン賞助演女優賞や東京スポーツ映画大賞助演女優賞を受賞。今でも実写化の成功例として支持され続けている。
原作再現度の高さと遊び心あふれる演技で、主人公にも匹敵するほどの存在感を放った深田さん。ボディラインを際立たせた大胆かつ刺激的な衣装も相まって、その完璧なビジュアルはファンの期待を大きく超えた。セクシーさと面白さを巧みに両立させたことで、作品全体の魅力を引き上げた立役者と言えるだろう。


