アニメや漫画を見ていると、「これで勝った!」と確信した瞬間、あっさりとその希望を打ち砕くような展開に出くわすことがある。主人公が放った最終奥義、仲間の命を賭けた渾身の一撃、そこに流れる感動的なBGM――それらすべてが勝利を演出した直後、敵が再び立ち上がる。
そんな積み重ねられた「勝利フラグ」をへし折る展開は、読者や視聴者にとってショッキングな瞬間でもあり、忘れられないトラウマを植えつける。直前までの希望が大きいほど、それが裏切られた時の絶望もまた計り知れないのだ。
そこで今回は、ジャンプ作品の中でも特に衝撃的だった“奥の手が通じなかった絶望シーン”を紹介していこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■起死回生の一手が通じない絶望…
最初に挙げたいのは、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』で描かれたバラン戦でのひと幕だ。魔王軍最強の戦士であり、ダイの実父でもある竜騎将軍バランは竜魔人へと変身し、圧倒的な力でダイたちを追い詰める。
そんな中、ポップはバランのこめかみに両手を突き刺し、ダイたちに別れを告げると自己犠牲呪文・メガンテを発動。自らの命と引き換えにバランを道連れにしようとした。爆発とともに命を落としたポップの献身的な姿に多くの読者が涙し、勝利を信じた。
しかし次の瞬間、爆煙の中から現れたのは、無傷のバラン。爆発の瞬間に拘束を振りほどき、生き延びていたのだ。ポップの命を懸けた一撃すら届かないという絶望は、読者に強烈な衝撃を与えた。
続いては、『ジョジョの奇妙な冒険』第2部のジョセフ・ジョースターとカーズの戦い。苦手とする太陽さえ克服した“究極生命体”カーズに対し、ジョセフは最後の賭けとして火山の噴火を利用し、マグマに叩き落とす。しかしカーズはその中でも死なず、硬化させた体表で耐え抜くと、再び這い上がってきた。
ジョセフの起死回生の一手は通じず、しかもあっさりと腕を切断される。無慈悲なほどの力の差が描かれたこのシーンでは、「人間の限界」を痛烈に突きつけた。最終的にジョセフが“宇宙に吹き飛ばす”という奇策で勝利するまでの緊張感は、シリーズ屈指の絶望的なバトルとして語り継がれている。
『NARUTO-ナルト-』では、うちはマダラとマイト・ガイの戦いが挙げられる。十尾の力を取りこみ神にも等しい存在となったマダラに対し、ガイは八門遁甲の最後の門「死門」を開放。全身の生命力を燃やし尽くして放つ最終奥義「夜ガイ」が炸裂し、マダラの半身を吹き飛ばすことに成功する。
その代償としてガイの脚は砕け散り、体も焼け焦げたが、それだけに誰もが「ついに倒した」と信じた。しかしマダラは、人柱力になったことで得た驚異的な回復力で瞬時に再生する。「努力と勝利」が王道だったジャンプの世界で、命を賭して放った一撃が届かなかったという残酷な現実には、息を呑むしかなかった。


