■『ばけばけ』での好演も光る朝ドラ俳優
痒い所に手が届く気配りや、相手の考えを素直に受け止め寄り添える心の柔らかさ。そういった魅力が視聴者からも高く評価され、白崎はSNSでは「作中で一番いい人かもしれない」といった声が多く寄せられている。
そんな白崎を演じているのが、注目を集める俳優・前原瑞樹さんだ。そもそも前原さんは、谷口菜津子さんの原作漫画に登場する白崎と容姿もよく似ている。この親和性の高さは原作ファンにとっても嬉しいポイントで、「イメージぴったり」と高評価の声があがっていた。
穏やかで面倒見が良く芯の強さも併せ持つ白崎の魅力は、前原さんのナチュラルで温かい演技によって丁寧に表現されている。実写化作品として、彼のキャスティングはまさに完璧と言えるだろう。
現在32歳の前原さんは、高校卒業後に長崎から俳優を志して上京し、2013年公開の沖島勲監督作『WHO IS THAT MAN?!』で俳優デビュー。その後、ドラマや映画、舞台と幅広く経験を積み、2017年には『帝一の国』をはじめとする人気映画にも出演した。
とりわけキャリアの中で特筆すべきは、NHK連続テレビ小説への出演だろう。
初出演は2017年の『ひよっこ』。同作でチョイ役ながらも存在感を示すと、2023年の『舞いあがれ!』では、名前だけ「むっちゃん」として先に登場していた長濱ねるさん演じる椿山さくらの夫・修役として出演する。
長らく存在が謎だった「むっちゃん」だが、物語終盤に満を持して登場した前原さんは視聴者の期待と伏線を見事に回収。作品を大いに盛り上げ、『ひよっこ』以上の爪痕を残した。
さらに2023年には、『らんまん』でウサギを愛する東京大学植物学教室の学生・藤丸次郎役に起用される。真面目で心優しく人としての深みもある藤丸は、作品になくてはならない存在となり、多くの視聴者から愛されるキャラクターとなった。
2025年の現在は、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』と同時に、NHK連続テレビ小説4作目となる『ばけばけ』に出演中。松野家に乗り込む借金取りの森山の息子・銭太郎という、これまでにない役柄だ。
過去に演じてきた役がどれも人のいいキャラクターだったこともあり、視聴者からは「悪いやつに見えない、絶対いい人」「藤丸が借金取りになってる!」といったイメージを重ねた声も寄せられた。一方で、白崎とはまったく異なる人物像を自在に演じ分ける姿からは、前原さんの確かな演技力が改めて伝わってくる。
現在出演中の2作品を機に、今後ますます活躍の場を広げていくであろう前原さん。その温かい演技と誠実な人柄で、多くの視聴者の心を掴み続けてくれるに違いない。


