誘拐、整形、色仕掛け…復讐ドラマに登場した「突拍子もない戦術」齊藤京子・水野美紀『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』だけじゃない…の画像
北川景子  写真/ふたまん+編集部

 今期、衝撃的な復讐劇として話題を呼んでいるドラマがある。それがカンテレ・フジテレビ系「火ドラ・イレブン」で放送中の『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』だ。

 本作は、幼稚園のママ友いじめが原因で娘を亡くした55歳の母・篠原玲子(水野美紀さん)が全身整形をし、なんと25歳の新米ママ・篠原レイコ(齊藤京子さん)として生まれ変わり、娘の復讐を果たすという内容だ。

 55歳の女性が整形で25歳の女性として生まれ変わるというのは、現実ではなかなか考えられない設定だろう。しかし、最近の復讐ドラマでは常識の枠を超えた緻密で大胆な計画が実行され、見事復讐を果たすケースも多いのだ。

 そこで今回は、過去に放送された作品の中から、奇想天外な方法で制裁を下す復讐ドラマをいくつか紹介したい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■娘の命を奪った男の娘を誘拐…自分の娘として育てる『あなたを奪ったその日から』

 北川景子さんが主演を務めた『あなたを奪ったその日から』は、2025年4月からカンテレ・フジテレビ系で放送された復讐ドラマだ。

 食品事故でわが子を失った北川さん演じる母親・中越紘海は、復讐心から事故を起こした惣菜店の元社長・結城旭(大森南朋さん)の3歳の次女・萌子を誘拐する。当初は萌子の命を奪う予定だったが、亡くなった娘の姿を重ね、紘海は萌子を自分の娘として育てていくのであった。

 この復讐劇の特徴は、復讐相手の子どもを誘拐したうえ、名前も変えて自分の娘として育てるという驚くべき行動だ。誘拐した時点ではただの復讐の道具であった萌子だが、紘海は彼女に愛情を注ぎ始め、なんと11年という長い年月を共に過ごすこととなる。  

 現実であれば、すぐに逮捕されてもおかしくなさそうな復讐劇だろう。だが、紘海は萌子とともに人目を避けて生活を送り、誘拐された側の父親も執念深く萌子を探し続けるため、事態は複雑化していき、なかなか世間にバレることはない。

 こうして紘海は“復讐”と“母性”という相反する感情に苦しみ、葛藤しながらも、自分が犯した罪と向き合っていく。本作は単なる復讐劇でなく、親子の愛の物語としても楽しめる作品だ。

■整形で別人に…元いじめっ子と元夫を追い詰める『レプリカ 元妻の復讐』

 タナカトモさん・ひらいはっちさんによる漫画が原作のドラマ『レプリカ 元妻の復讐』(テレビ東京系「ドラマプレミア23」)も、整形手術を利用した復讐劇の傑作である。

 主人公の藤村葵(トリンドル玲奈さん)は、容姿のせいで学生時代にひどいいじめを受けていた。その後、結婚し幸せな日々を送っていた葵だが、夫を不倫相手に奪われてしまう。その相手の女性こそ、なんと過去に自分をいじめた主犯だった。

 夫も仕事もすべてを失った葵は全身整形手術をし、誰もが振り返るほどの美女・伊藤すみれに生まれ変わる。そして彼女はその美貌を利用し、元夫と彼を奪った女に復讐していくという物語だ。

 本作は、最近の復讐作品でよく見られる“整形”を利用した制裁だ。手術によって過去の自分と完全に決別し、別人として生まれ変わって憎き相手に近づく復讐は、見ているこちらもスカッとする。ちなみに整形前の葵の顔をトリンドルさんが特殊メイクで演じているのも、本作の見どころだ。

 整形で美しくなったすみれは、元夫・桔平(木村了さん)とその妻・花梨(宮本茉由さん)に巧みに取り入り、親友のように振る舞いながら夫婦関係を内側から破壊しようと企てる。現実であれば声や仕草などで正体がバレてしまいそうな気もするが、ドラマや漫画ではそうした懸念も感じさせず、計画がスムーズに進んでいくのも爽快だ。

 こうして桔平と花梨は回を追うごとに精神的に追い詰められ、事態はマスコミも巻き込んだ大騒動へと発展していく。人間心理の脆さを利用した緻密な復讐計画に、ただただ感心してしまうドラマであった。

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