ブレイク前の人気女優が『仮面ライダー』で魅せた「愛すべきヒロイン」たち 松本若菜に井桁弘恵、内田理央、広瀬アリスも…の画像
井桁弘恵  写真/ふたまん+編集部

 現在、ドラマや映画、CMで大活躍する人気女優たち。そんな彼女たちのキャリアの原点が、実は『仮面ライダー』シリーズにあると知れば、きっと驚く人も多いだろう。

 特撮は単なる若手の“登竜門”という言葉だけでは語れない。厳しい撮影現場、長期にわたる役づくり、そしてキャラクターに寄り添う覚悟。そこで磨かれた表現力こそが、後の大ブレイクへとつながっていくのである。

 今回は、ブレイク前に『仮面ライダー』シリーズに出演していた女優たちを振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■物語の要を担った“癒し系お姉ちゃん”『仮面ライダー電王』松本若菜

 今や『わたしの宝物』『Dr.アシュラ』(ともにフジテレビ系)などプライム帯のドラマで主演を務め、現在放送中のドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)にも出演中の松本若菜さん。遅咲きの実力派として脚光を浴びる彼女だが、そんな松本さんのキャリアの出発点は、2007年から放送された『仮面ライダー電王』だった。

 演じたのは、主人公・野上良太郎(佐藤健さん)の姉・愛理。両親を失いながらも、弟と小さな喫茶店を営む穏やかで少し天然な“癒し系のお姉ちゃん”という役どころである。しかし、物語が進むにつれて彼女の存在が物語の核心へと深くかかわっていく、極めて重要な人物だった。

 『電王』出演後は松本さん自身が「暗黒期」と語るほど、長い下積み時代を経験したという。その中で、2012年から放送された『仮面ライダーウィザード』にもゲスト出演。そこではそれまでのイメージとは一転して、多くの男性を騙す結婚詐欺師を怪演し、役者としての幅広さを証明した。

 努力を積み重ね、ついにブレイクを果たした松本さん。2024年には、かつて弟役だった佐藤さんと『はたらく細胞』で声の共演が実現するなど、『電王』から始まった縁は今なお色濃く息づいているようだ。

■令和仮面ライダーの象徴となった“戦うヒロイン”『仮面ライダーゼロワン』井桁弘恵

 現在放送中のドラマ『そこから先は地獄』(日本テレビ系)で主演を務め、女優業以外にもバラエティからCM、モデルまで幅広く活躍する井桁弘恵さん。彼女の多才さの礎となったのが、2019年から放送された令和仮面ライダーシリーズ1作目である『仮面ライダーゼロワン』だ。

 井桁さんが演じたのは、刃唯阿こと仮面ライダーバルキリー。この役は、シリーズ史上初めて、“物語序盤からレギュラー登場する女性ライダー”という歴史的ポジションでもある。

 対人工知能特務機関A.I.M.S.の技術者として登場しながら、企業の思惑に翻弄され、スパイとして心が揺らぎながらも、最後は自らの信念を選び取る。強さと迷い、そして人間味が共存する複雑な役どころであった。

 井桁さんは“唯阿は親友のような存在”と語り、長い撮影の中で役と共に成長したことを明かしている。

 女性仮面ライダーの在り方を大きく更新し、視聴者の記憶に強く刻まれた刃唯阿。井桁さんの現在の目覚ましい躍進は、『ゼロワン』での経験の賜物だといえるかもしれない。

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