■海外にも刺さる、高橋留美子の世界観『らんま1/2』
ふたつめは、現在2期が放送中の『らんま1/2』だ。『うる星やつら』『めぞん一刻』など、数々の名作を世に送り出してきた高橋留美子さんによる作品で、初回放送は1989年。その後2024年にリメイクとなる第1期が放送され、今回はその続編となっている。
本作は、水をかぶると女になり、お湯をかぶると男に戻る呪いをかけられた主人公・早乙女乱馬と、天道家の三女・天道あかねが繰り広げるドタバタラブコメディ。2024年のリメイク放送時は、旧アニメ声優の山口勝平さん(早乙女乱馬・男)と林原めぐみさん(らんま・女)の続投など、新旧アニメファンにとって大きな話題となった。
海外でも評判は高く、中国大手アニメサイト「douban/ドウバン」の評価は、10点満点中8.9点と高スコア。他サイトの週別ランキングでも常にTOP5に君臨する人気ぶりだ。
海外の反応の多くは「ロマンスとコメディのバランスが完璧!」「作画がMAPPAで安心できる」と、アニメの高い完成度に言及するレビューも見られるが、「やっぱりRumiko Takahashiは最高にクールだ!」と、作者の高橋留美子さんの世界観に魅力を感じる声も目立つ。その大きな要因は、2022年に放送された『うる星やつら』のリメイクが大きかったと思われる。
もともと『らんま1/2』は、中国やフランス、スペインでも人気の高い作品として知られており、高橋留美子さんのファンも多く存在していた。ただ、当時はアニメそのものがまだ一般的な娯楽として浸透しきっておらず、作品の認知は特定のアニメファンに限られていた。
しかし近年では、『鬼滅の刃』や『進撃の巨人』といった2010年代以降のヒット作をきっかけにアニメ文化に触れた新しい海外ファンが増加。そうした層にとって、高橋留美子作品の入り口となったのが、2022年放送のリメイク版『うる星やつら』だったことが、レビューやSNSの反応からうかがえる。
往年のファンのみならず新たな世代にも受け入れられ、再び世界的な注目を集めている『らんま1/2』。高橋留美子さんの普遍的な魅力が、時代や国境を超えて息づいている証といえるだろう。


