■最多主演回数を誇る永作博美さんのホラー「テレフォンカード」
最後は『世にも』で最も多く主演を務めてきた女優・永作博美さん。永作さんの初登場は、1991年1月31日放送の「テレフォンカード」。89年にテレビ番組『パラダイスGoGo!!』から生まれたアイドル・ribbon時代に松野有里巳さん、佐藤愛子さんとともに3人で主人公を務めたエピソードだ。
物語は、3人が高校の卒業旅行にいくところから始まる。グループにはユキという亡くなった友人がおり、3人は彼女を想いながら旅先で撮った写真で記念のテレフォンカードを作ることに。すると、テレカにユキらしき霊が映り込む。
そして後日、グループの一人・アリミがテレカを使った瞬間に悲劇が幕を開ける。なぜかおかしいスピードでカードの残り度数が減り、0になった瞬間に彼女は死んでしまうのだ。
死の原因がテレカだと考えたアイコが使ってみると、なんとユキと電話が繋がった。電話先から「私ずっと待ってたんだ、アイコからの電話」「もうすぐ私たち会えるのよ」と言うユキの声が聞こえ、間もなく彼女も死んでしまう。
最後に残された永作さん演じるヒロミは、アイコが死んだ公衆電話にテレカを入れ、ユキに電話をかける。「ヒロミももうすぐこっちにこれるから」というユキの声と残り1の度数。ヒロミは電話を切るが、そのとき近くでトラックが事故を起こし、振り返った瞬間に積み荷から落ちたパイプが電話BOXを貫くのだった。
残数は既に0だった。受話器からは「だって寂しかったんだもん」という嬉しそうなユキの声が響いていた。
テレフォンカードは残りの度数が0になるとカードに穴が開き使えなくなる。それと同じように、3人の主人公は頭を貫かれて死ぬというオチだ。今見ると、公衆電話という時代を感じるアイテムに懐かしい気持ちになる同エピソード。謎は残るものの、次々に死ぬ友人が不憫な物語だ。
永作さんはその後、複数の作品で出演を務めるが、中でも「缶けり」は同エピソードのように死んだ旧友に次々殺されるという良作のホラー。ぜひチェックしてみてほしい。
かつて応援していたアイドルたちが全力で恐怖を演じる姿は、ファンからすると新鮮なもの。映像のリアルさは現在の技術には負けるが、どの作品もホラーの軸がしっかりしているので今見ても楽しめるのではないだろうか。


