『世にも奇妙な物語』柏原芳恵、香坂みゆき、浅香唯…女性アイドルが出演した「本気で怖い」90年代の名作エピソードの画像
『世にも奇妙な物語』(C)フジテレビ

 フジテレビ系『世にも奇妙な物語』の放送35周年を記念したスペシャル番組『世にも奇妙な物語 35周年SP 秋の特別編』が11月8日に放送された。

 今回の特別編では、山田涼介さん主演の「止まらなければ生きられないゲーム」、川口春奈さん主演「あなた博物館」、伊藤淳史さん主演「七階闘争」の3本の新作を放送。さらに番組の35周年を記念し、1991年の役所広司さん主演作「ハッピーバースデー・ツー・マイホーム」が、傑作選として34年ぶりに放送となった。

 同番組では今年5月にも、『世にも奇妙な物語35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~』として過去の名作5作品を復活放送させたが、これまでも名だたるキャストが作品に登場。中には、往年のアイドルが恐怖の世界に巻き込まれるエピソードもあり、思い出に残っているというファンも多いのではないだろうか。今回は、そんな懐かしのアイドルたちが出演した初期の最恐ホラーを振り返ろう。

※本記事には作品の内容を含みます 

■ヒトコワ×理不尽ホラーの名作「半分こ」

 まずは、1990年7月12日に放送された「半分こ」を見ていきたい。主演は80年代に一世を風靡したアイドル・柏原芳恵さん(デビュー時は柏原よしえ)と香坂みゆきさんで、”半分こ”も度が過ぎると怖いという、ヒトコワホラーである。

 これは、ある日、夫・道夫(富士原恭平さん)の出張中にスイカを買おうとした柏原さん演じる主婦の北沢英子が、香坂みゆきさん演じる山岸緑に「半分こしませんか?」と声をかけられるというエピソード。

 緑いわく、一人暮らしなのでスイカを買うことに躊躇していたのだそう。2人は割り勘でスイカを買い、これを機に親しくなるのだが、以来緑に何かと「半分こ」を求められ、ついには英子が飼おうとしたインコにも半分こを提案される始末。さすがに引く英子を見た緑は冗談だと言い、結局交替で飼うことになった。

 そんな折、道夫の帰宅日が訪れる。だが、道夫は急用が入ったとキャンセル。食事を用意していた英子が緑を呼ぼうと電話をかけると、彼女の後ろから聞きなれた男性の声が聞こえる。夫では……とモヤモヤした英子が緑に問いただすと、タイミングよくインコが「めんぼくない」と夫の口癖を話し出し、「緑愛してる」と浮気の確信を突く言葉を発するのだった。

 緑の怖さが一線を越えたのはこの辺りからだった。怒りを露わにする英子に対し、笑みを浮かべて「何でも半分こしてきたんだから、ご主人も」と言い出したのである。

 さらに翌日、最悪の出来事が起こってしまう。英子の元に緑から大きな段ボールが届き、直後に「やっぱり道夫さん私とあなたで半分こにしましょう」と電話がかかってきたのだ。恐る恐る箱をあけた英子は、中身を見て悲鳴をあげる。箱の底からは、血が流れ出ていた……。

 ドラマでは、緑の行動の理由や目的は明かされなかった。香坂さん演じる不思議な人物に翻弄される柏原さんの表情が恐怖を誘う、90年代初期の名エピソードだ。

■映画のような悪霊系ホラーにゾクゾク「ベビーシッター」

 続いては、80年代に『スケバン刑事』で大ブレイクし、アイドル四天王と莫大な支持を得ていた浅香唯さん主演のホラーエピソード「ベビーシッター」を振り返ろう。放送されたのは1991年6月13日である。

 ストーリーは、『世にも』には珍しい悪霊系ホラー。往年の名作映画『エクソシスト』や『オーメン』といった、悪魔VS人間の構図に巻き込まれるベビーシッターの悲劇を描いている。

 浅香さん演じる大学生の山口美保は、アルバイトで一晩だけ双子の世話をすることになる。すでに、面接のときから母親に「ここにくることは誰にもいっていないか」と確認されるなど違和感があるものの、美保は伝えられた通り世話を始める。

 外の風が強まりますます怪しい雰囲気が漂いだしたそのとき、神父が家に突入して「双子は悪魔の子でベビーシッターを生贄にしている」ととんでもないことを言い出す。突然のオカルト展開である。 

 混乱する美保は、不法侵入した神父を殴打し双子を庇って部屋に立てこもった。突然こんなことを言われたら、信じられないのも無理はない。

 だが、すぐに神父を信じざるを得ない出来事が起こる。聖水をかけられた双子が、本性を現したのだ。首をぐるっと回して悪魔の顔を見せた彼らは、神父に襲いかかり凶悪な力で命を奪ってしまった。

 目の前の惨劇にパニックになった美保は必死で逃げるも、家中でポルターガイストが起こり、屋敷から出られない。怯える彼女に悪魔と化した双子は言う。

「次はお前だ」

 後日、母親は何食わぬ顔で次のベビーシッターを雇い、地下室では美保が双子に引き摺られ闇に消えていくのだった。

 王道の悪魔系ストーリーだが、首を回したり三輪車を真顔で漕いだりと双子の様相は恐ろしい。ハッピーエンドにならないあたりも、『世にも』らしいポイントだろう。

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