え、これで終わるの?『美少女戦士セーラームーン』“全滅エンド”に『ジョジョ6部』“宇宙一巡”も…アニメ史に刻まれた「凄惨すぎる結末」の画像
DVD『美少女戦士セーラームーン』第1巻(東映ビデオ)(C)武内直子・PNP・東映アニメーション

 アニメの物語は、しばしば“夢”や“希望”の象徴として語られてきた。だが、その輝かしい歴史をたどれば、視聴者の心に深い傷を刻み、忘れがたいほどの「凄惨な結末」を迎えた作品も少なくない。

 それは、仲間の死、自己犠牲、そして世界そのものの崩壊といった、決してハッピーエンドとは呼べないものだ。物語が迎える“終わり”は、しばしば勝利や栄光よりも重く、痛みを伴うものだった。

 今回は、そんな数ある名作の中から、アニメ史にその名を刻んだ3つの「凄惨な結末」を振り返っていく。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■仲間が次々と散る“全滅エンド”『美少女戦士セーラームーン』

 最初に挙げるのは、『美少女戦士セーラームーン』(1992年~)で描かれた、伝説の「全滅エンド」だ。

 ダーク・キングダムの本拠地・北極での最終決戦。幻覚を操るD.D.ガールズとの死闘の中で、セーラージュピター、セーラーマーキュリー、セーラーヴィーナス、セーラーマーズが次々と命を落としていく。

 仲間の遺志を継ぎ、たった1人で戦うセーラームーンの前に立ちはだかったのは、暗黒のエナジーに支配された恋人・タキシード仮面ことエンディミオン。月野うさぎの必死の願いによって彼は正気を取り戻すも、クイン・ベリルの攻撃からうさぎを庇い、彼さえも息絶えてしまう。

 放送当時、この展開は子どもたちに計り知れない衝撃を与えた。ついさっきまで笑い合っていた仲間たちが、1人、また1人と命を落としていく。少女向けアニメで、このような悲劇的な展開は前代未聞だった。

 当時はまだSNSのない時代。雑誌やファンの投書欄には「泣きながら見た」「怖くて眠れなかった」といった声が多数寄せられたという。それから30年近く経った今なお、「初めて“死”を意識したアニメ」として語り継がれている。

 最終的に、うさぎは幻の銀水晶の力を解き放ち、クイン・ベリルを討ち果たす。しかし、その絶大な力の代償として自らも光に包まれ、命を落とす。主人公までもが倒れるという、まさに「全滅エンド」だった。

 やがて奇跡が訪れ、うさぎをはじめ戦士たちは転生を果たす。物語は続編『美少女戦士セーラームーンR』へとつながっていくが、彼女たちはかつての記憶も、仲間との絆も覚えていない。その喪失が、この結末を一層切ないものにしているのである。

■救いを求めた少女たちの壮絶な最期『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』

 次に挙げるのは、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』だ。本作は「希望と絶望」を描いた本家『魔法少女まどか☆マギカ』の世界を、さらに過酷に拡張した外伝作品である。

 舞台は新興都市・神浜。救いを求めて集まった魔法少女たちは、理想の違いによって次々と命を落としていく。

 梓みふゆと十咎ももこは、他の魔法少女を救うために自ら犠牲となり、黒江は絶望の果てに魔女へと変貌してしまい、主人公・環いろはに討たれる。

 さらに、物語の中枢で暗躍してきた「マギウスの翼」の3人、里見灯花、柊ねむ、アリナもまた、それぞれが異なる“救済”の道を選んだ結果、壮絶な最期を迎える。

 灯花とねむは、小さなキュゥべえを伴い、イブとワルプルギスの夜へと突入し、その身を散らす。そして、その攻撃によりアリナ・グレイは大ダメージを受け、最終的には、いろはと七海やちよが放った合体攻撃によって討たれるのだった。

 本家『魔法少女まどか☆マギカ』も壮絶な最終回で知られるが、外伝である本作もまた、その結末は容赦なかった。主要キャラクターの多くが命を落とす最終章は、放送当時、SNS上で「心が追いつかない」「希望が消えた」といった声が相次ぎ、大きな反響を呼んだ。

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