出会って数秒で敗北…!? 昭和『ウルトラマン』哀愁すら漂う「あまりにも弱すぎた侵略者」たちの画像
書籍『ウルトラセブン大侵略者図鑑』  (C)円谷プロ

 1966年に放送された『ウルトラQ』から始まった昭和『ウルトラマン』シリーズ。初放送から60年近くが経過し、その作品シリーズには数々の強敵が登場した。

 たとえば『ウルトラセブン』の「ガッツ星人」や『帰ってきたウルトラマン』の「ナックル星人」はウルトラ兄弟を捕らえ、処刑寸前のところまで追いつめた。また、『ウルトラマン』に登場した「ゼットン」は、ウルトラマンを撃破するほどの強さを誇っている。

 そんな強力な怪獣や宇宙人がいる一方、ウルトラ兄弟を敵に回すには弱すぎて、むしろ同情を禁じ得ないような存在もいた。

 そこで今回は地球侵略を目論んだ宇宙人の中から、あまりの弱さに視聴者も驚いた存在を取り上げ、その悲しい戦いぶりを振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■ウルトラセブンに一蹴されたクール星人

 最初に紹介するのは、1967年放送の『ウルトラセブン』第1話「姿なき挑戦者」に登場した“宇宙ハンター”こと「クール星人」だ。

 あるとき、いきなり人間が消失するという不可解な事件が続発。この事件の黒幕がクール星人だった。これまでひそかに人間の標本を集めていたクール星人は、調査を開始したウルトラ警備隊に攻撃を仕掛け、地球防衛軍に全面降伏を勧告する。

 その際、クール星人は人間のことを「我々から見れば昆虫のようなものだ」と豪語。勧告を拒否された直後に京浜工業地帯を攻撃し、瞬く間に火の海にしている。

 透明な宇宙船で行動するクール星人だったが、ウルトラ警備隊の「特殊噴霧装置」によって宇宙船に色をつけられると形勢逆転。おまけに、宇宙船内に潜入したウルトラセブンと対峙するも、アイスラッガーで頭部を切り落とされて一瞬で沈黙。ウルトラセブンと向き合って、わずか数秒の出来事だった。

 クール星人は物を引き寄せる超引力波や生物の神経を麻痺させるクールガスを放てるそうだが、ウルトラセブンとの戦いではそんな攻撃を行う間もなく瞬殺……。あまりにもあっさり倒されてしまったことで、その弱さが際立ってしまった。

■怪光線だけではまともに戦えず……あっけなかったカナン星人

 続いて紹介するのは『ウルトラセブン』第24話「北へ還れ!」に登場した“オーロラ怪人”の異名をとる「カナン星人」だ。

 北極圏で、謎のオーロラに包まれた民間航空機と地球防衛軍のパトロール機が衝突する事故が発生。すぐさまウルトラ警備隊が調査を開始する。しかし、ウルトラ警備隊が送り込んだウルトラホーク3号も操縦不能に陥り、旅客機と衝突寸前になった。

 続いて調査に向かったモロボシ・ダン(ウルトラセブン)が、カナン星人の宇宙船を発見。ダンはカプセル怪獣「ウインダム」を放つ。

 一方、ウインダムの姿を見てもカナン星人は動揺するどころか高笑い。直後にカナン星人は宇宙船からウインダムに怪光線を浴びせ、その電子頭脳を乗っ取ってしまった。

 登場したウルトラセブンはウインダムを圧倒し、カナン星人による洗脳を解くと、再びカナン星人の宇宙船への攻撃を命じた。

 怪光線でウインダムは退けたものの、カナン星人が攻勢を保てたのはここまで。ウルトラセブンには怪光線が効かないと分かると、カナン星人は宇宙船で逃亡。しかし、すぐにウルトラセブンに追いつかれて宇宙船を爆破され、旅客機とウルトラホーク3号の衝突は回避された。

 「北極は今や我らカナン星人のものだということを思い知らせてやる」と強気に言い放ったカナン星人だが、機械をおかしくする怪光線しかないのはさすがに力不足。この攻撃手段の少なさは致命的で、ウルトラセブンを前にして逃げるしか手がないのはあまりにも残念だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3