新作アニメでどう表現?『ハイスクール!奇面組』が昭和に描いていた「多様性のギャグ」の画像
※TVアニメ『ハイスクール!奇面組』公式X(@kimengumi_anime)のポストより

 テレビアニメ『ハイスクール! 奇面組』の完全新作が、2026年1月よりフジテレビ系の「ノイタミナ枠(毎週金曜23時30分より)」で放送される。39年ぶりとなる名作の復活にファンも湧いている。

 新沢基栄さんによるギャグ漫画『ハイスクール! 奇面組(3年奇面組)』(1980年より『週刊少年ジャンプ』にて連載)が原作で、前回は1985年にテレビアニメ化された人気作だ。

 今回監督を務める関和亮さんは、実写映画『かくかくしかじか』、そしてサカナクションや米津玄師らのMVなどを手がけてきた人物。テレビアニメの監督は今回が初挑戦となる。

 個性豊かな「奇面組」の面々の声優は旧アニメから一新され、一堂零役の関智一さんをはじめ、武内駿輔さん(冷越豪)、松岡禎丞さん(出瀬潔)、小林千晃さん(大間仁)、戸谷菊之助さん(物星大)ら主役級が勢ぞろい。

 さっそくキャラクターボイス入りのイメージMVが公開されると、SNSには「楽しみ!」「関さんが旧作の零(千葉繁さん)に寄せていて最高!」「千葉さんを零のお父さん役でぜひ」など、さまざまな反響が寄せられた。

 舞台版『奇面組』で主人公らの担任・事代作吾役を演じたなだぎ武さんも「この令和でまた奇面組が見れるなんて…楽しみや」と自身のXに投稿している。

 また今回の新アニメ化発表で、初めて『奇面組』の存在を知ったというファンも多いはず。そこで当時リアルタイムで連載を楽しんでいた筆者が、かつて昭和の子どもたちを夢中にした『ハイスクール! 奇面組』の魅力を振り返ってみたい。

■ジャンプ黄金時代に輝いた人気ギャグ漫画!

 昭和後期から平成初期にかけて、『週刊少年ジャンプ』(集英社)は『北斗の拳』『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』といった人気漫画が多数連載。史上最高の発行部数を記録するなど「ジャンプ黄金時代」と呼ばれた。

 そんな傑作ぞろいのジャンプ誌上で、7年間も連載されたギャグ漫画が『奇面組』だ。

 連載当初は『3年奇面組』のタイトルで中学時代を描き、主人公らの高校進学に伴って『ハイスクール! 奇面組』に改題された。

 まず同作の個性的な部分は、キャラクターの「名前」に現れている。主人公「一堂零(一同、礼)」を筆頭に、何かをもじった名前になっているのが特徴。有名人の名前をもじったキャラも多く、中には女優の薬師丸ひろ子がモチーフの「子役締ひろ(こやくしまる ひろ)」のようなキャラもいる。

 連載時、個人的に好きだったのは、『北斗の拳』の主人公・ケンシロウに似た空手部主将「北殿軒 戻樹(ほくとのけん もどき)」。かなり強引な名前とソックリな見た目で登場し、マンガの枠外には「原哲夫 承認済(さすが原くん ふとっ腹!)」という書き文字があって、さらなる笑いを誘った。

 元ネタとキャラを比較して「なるほど!」とうなずいたり、少々やり過ぎなパロディに笑ったりと、やみつきになる面白さだ。

 また「奇面組」以外にも、さまざまな個性で“カテゴライズ”された5人1組のグループが登場するのも特徴。それぞれのグループごとに目を引く特色があった。たとえば、「腕組(うでぐみ)」のリーダー「雲童塊(うんどう かい)」は運動神経抜群、「色男組(いろおとこぐみ)」のリーダー「切出翔(きれいで しょう)」は女子に大人気のイケメンといった具合だ。

 突出した個性を持つ彼らに対抗すべく、「奇面組」は顔面を武器にした必殺技「奇面フラッシュ」を繰り出すのがお約束。連載当時は、友だちと一緒に「奇面フラーッシュ!」とマネをした人も多いことだろう。

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