■格闘術を活かしたスピード感溢れるアクション

 最後は、目を見張るアクションを披露した山本千尋さんを振り返りたい。彼女が演じるのは、シーズン2で登場したスペードのクイーン・リサ。知的でクールで冷酷なリサは、今際の国の自由さを誰よりも愛するドラマオリジナルキャラである。

 そんなリサが取り仕切るのは、「ちぇっくめいと」。火力発電所の巨大施設を舞台に繰り広げられるこのげぇむは、クイーンチームとプレーヤーチームがターンごとに背中についたボタンを押し合い、最終的に人数の多いチームが生き残って負けたチームが全滅するという過酷な内容だ。

 幼い頃から武術太極拳選手として活躍していた山本さんは、ジュニア武術選手権大会やジュニアオリンピックといった様々な世界大会で金メダルを取ってきた生粋のアスリート。女優に転身してからは、その高いポテンシャルを生かした役柄に次々と挑戦してきた。今回のリサ役は、「アクションは言葉がなくても伝わる世界の共通用語」と語る山本さんにとって、世界中に自身の能力を示す絶好のチャンスとなる。

 作中では、半年にわたってトレーニングしてきたというパルクールや肉弾戦の成果を余すところなく発揮し、圧倒的な存在感を放つ。鉄骨の中を縦横無尽に駆け抜ける姿、そして美しく堂々とした立ち振る舞いは、まさにクイーンの風格そのものだった。

 放送後にアップしたインスタグラムの投稿には、海外の視聴者からも多くの絶賛の声が寄せられ、中には「本当に美しい。私だったら何も言わずにあなたのチームに入っていた」というコメントもあったほどだ。

 こういった点からも、山本さんが本作で残した功績の大きさは計り知れない。個人的には、吹き替えかと錯覚するほど澄んだ山本さんの声の美しさにも心を奪われた。いつか声の演技も見せてほしいものである。

 ギリギリの攻防の中、生きるために体を張ったプレイヤーたち。そんな彼らを全身全霊で演じ、体を鍛えぬいて原作さながらの激しいアクションに挑んだ俳優たちの存在感は視聴者の心に大きく刻まれた。

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