■右を見ても左を見ても…全員が主役級の豪華キャスト

 本作の最大の特徴は、右を見ても左を見ても主役級という豪華キャスト陣だろう。主演の菅田さんは、2022年放送のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』以来、3年ぶりとなる三谷作品への出演。これまでの経験も踏まえ、息の合った演技で三谷ワールドを自在に駆け巡る。

 そして、ヒロインの倖田リカを演じる二階堂ふみさんは、圧巻のダンスショーを熱演。第1話から妖艶な姿を惜しげもなく披露するという印象的な演出で、視聴者の目を釘づけにし圧倒的な存在感を放っている。

 さらにWS劇場に関わる人々にもビッグネームが並ぶ。例えば、今後のキーマンとなりそうな新人放送作家・蓬莱省吾を演じる神木隆之介さん。この役柄は、若き日の三谷さんをモデルにしているという。三谷作品初出演となる神木さんが、これから三谷ワールドでどんな活躍をするのか注目である。

 そして姉御的存在のダンサー・パトラ鈴木役のアンミカさん、看板ダンサー・いざなぎダンカン役の小池栄子さん、シングルマザーのダンサー・毛脛モネ役の秋元才加さんら、劇場を支える女性たちのキャラも個性豊かだ。特に53歳で連ドラ初出演となるアンミカさんは、圧倒的なプロポーションと存在感で視線を奪う。

 さらには、劇場の用心棒・トニー安藤役に市原隼人さん、舞台監督・伴工作役に野間口徹さん、客引き役に井上順さんら、関係者にも有名俳優が揃い踏み。ちなみに、実在する「渋谷道頓堀劇場」でも当時芸人の幕間コントが上演されていたのだが、本作ではバイきんぐ西村瑞樹さんとラバーガールの大水洋介さんがお笑いコンビ役で出演している。

 キャスト陣の豪華さは、劇場を出ても変わらない。ジャズ喫茶「テンペスト」のオーナー役に小林薫さん、交番勤務の警察官役に戸塚純貴さん、案内所のおばば役に菊地凛子さん、そしてシェイクスピアのエピグラフの声を渡辺謙さんが担当。作中のテレビ番組には、堺正章さんが“ポニー田中”として登場した。

 さらに、八分坂を守る八分神社では、神主・江頭論平役を坂東彌十郎さん、その娘で巫女の樹里役を浜辺美波さんが演じている。浜辺さんはメインキャストの一人としても発表されており、今後は久部との関わりを通じて物語の鍵を握る存在となりそうだ。三谷作品ならではのコメディ要素の中で、樹里がどのように物語に溶け込んでいくのか期待したい。

 どこを見ても有名俳優の名が並び、良い意味で“カオス”とも言える『もしがく』。華やかでレトロで刺激的な映像美の中に80年代のエネルギッシュな人々の熱気が感じられ、これからの展開からますます目が離せない。

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