
任天堂を代表するアクション・アドベンチャーゲーム『ゼルダの伝説』シリーズ。その原点となる初代『ゼルダの伝説』は、1986年にファミリーコンピュータのディスクシステム用ソフトとして誕生した。
プレイヤーは勇気ある少年リンクを操作し、ハイラルの地を冒険しながら宿敵ガノンを倒し、さらわれたゼルダ姫を救い出す――この“勇者と魔王、姫を救う冒険”という物語は、その後のシリーズを通しても変わることのない大きな軸となっている。
平成生まれの筆者にとって、『ゼルダの伝説』といえば3Dグラフィックで表現された大作タイトルという印象が強い。初めて夢中になったのはNINTENDO64の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』(1998年)で、その後も『ムジュラの仮面』(2000年)や『ブレス オブ ザ ワイルド』(2017年)など、『ゼルダの伝説』シリーズを楽しんできた。
しかし、それらの原点である初代『ゼルダの伝説』は未プレイである。そこで現在、「Nintendo Switch Online」でファミコン時代の『ゼルダの伝説』がプレイできるということで、そのルーツに触れてみることにした。
完全に初挑戦となる初代『ゼルダの伝説』を体験してみたところ、レトロゲームとは思えない意外な発見や驚きが待っていた。
※本記事には作品の内容を含みます。
■強敵との「まさかの再会」に歓喜!
プレイを始めてまず感じたのは、約40年も前に発売された第1作目から「すでにゼルダは完成されていた」という驚きだ。フィールドを冒険し、迷宮に挑み、アイテムを手に入れて先に進める。このサイクルはシリーズを通して一貫しており、のちの3D作品にもそのまま受け継がれている。
3Dグラフィックになった『ゼルダの伝説 時のオカリナ』では立体的に表現された世界に圧倒され、以降は『ムジュラの仮面』を経て、自分の中では「ゼルダ=3D」という印象が強い。
しかし、初代を遊んでみると、2Dでありながら3D作品と地続きのコンセプトや魅力をすでに備えていたことに気づかされる。
そして『ゼルダの伝説 時のオカリナ』以降、同シリーズの作品を続けてプレイしてきた人なら「共通の敵キャラクター」が多いことに気づくはずだ。
逆に2025年になってから初代に立ち返って驚かされたのは、『ブレス オブ ザ ワイルド』や『ティアーズ オブ ザ キングダム』などで猛威を振るった強敵の「ライネル」が、すでに第1作目から登場していたことである。
最初は唐突すぎて正体がわからなかったが、一撃で倒されたときに「この火力、この姿……ライネルじゃないか!」と気づかされた。『神々のトライフォース』などの過去作にいたことは知っていたが、まさか初代から猛威を振るっていたとは感慨深い。
数が多すぎる点には少々閉口したが、それでも“知っている存在”と出会えたことに思わずうれしくなってしまった。
さらに印象的だったのが爆弾や弓矢、ブーメランといったシリーズおなじみのアイテムが、すでに初代からそろっていたことだ。
序盤で手に入る定番の便利アイテムとして、のちのシリーズでも活躍する。弓矢と爆弾を手に入れるだけで、その後のギミックが想像できるのも『ゼルダの伝説』シリーズファンあるあるだろう。
シリーズ最新作を見慣れた視点で初代をプレイすると、これらの要素が長い年月を経ても変わらず存在していることに驚く。初代からほとんど同じギミックなのに、それが「ゼルダといえばこれ」と作品を象徴する存在として認知されているのは不思議な感覚である。