
2026年にテレビアニメ化されることが発表され、今あらためて注目を集めている甲斐谷忍さんの漫画『LIAR GAME』。大金を賭けて“嘘つき”たちがさまざまなゲームに挑む本作は、巧みな心理描写と手に汗握る展開で多くの読者を惹きつけてきた。
しかし、『LIAR GAME』と聞くと、2007年と2009~10年に放送されたドラマ版のほうを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。戸田恵梨香さんと松田翔太さんによる名コンビの活躍を、いまだ鮮明に覚えている。今回はそんなドラマ『LIAR GAME』の魅力をあらためて振り返っていきたい。
※本記事は作品の内容を含みます。
■手に汗握る「まさか」だらけの展開
『LIAR GAME』の主人公は、戸田さん演じる女子大学生の神崎直。皆から「バカ正直のナオ」と呼ばれるほどまっすぐな性格の彼女が、ひょんなことから大金をめぐり嘘つきたちが騙し合う「ライアーゲーム」に参加する羽目になったところから、物語は動き出す。
そんな直とコンビを組むのが、松田さん演じる天才詐欺師・秋山深一である。彼は直に助けを求められる形でゲームに巻き込まれるが、その優れた頭脳と戦略で次々とトーナメントを勝ち進んでいく。
本作は噓つきたちの騙し合いを描いているだけあって、最初から最後まで「まさか」の展開の連続だ。勝者だった人間が一瞬でどん底に転落するのは当たり前で、その逆も然り。信じていた相手に裏切られることもあって、もはや誰が敵か味方かわからない。
しかし、そんな状況でもバカ正直な直は「人を信じる」ことを貫こうとする。このゲームでは、勝ち抜けば大儲けできると同時に、負ければ多額の借金を背負うことになる。だからこそ誰もが「誰か」を疑う中で、直がどう変わるのか、あるいは変わらないのか。それが本作の軸といえるだろう。
また「少数決ゲーム」や「リストラゲーム」、「密輸ゲーム」など、バラエティ豊かなゲーム内容も魅力のひとつ。騙し合いというから個人プレイなのかと思いきや、チームプレーが重要になる場面も多く、次々と更新されていく人物相関図に混乱しつつもドキドキワクワクさせられる。
■個性豊かすぎる登場人物たち
複雑な人間心理を描く本作には、一筋縄ではいかない登場人物ばかり登場する。中でも鈴木浩介さん演じるフクナガユウジの存在は、多くの視聴者に強烈な印象を残したはずだ。
キノコのような髪型に太めの黒ぶち眼鏡、けばけばしいファッションが特徴のフクナガは、見た目だけのインパクトが強いわけではない。彼は作中で何度も裏切り行為を繰り返すのだが、その時の表情や声色がとにかく印象に残るのだ。
いわゆる「煽りスキル」が異様に高く、人をおちょくったり馬鹿にしたりする時の彼の姿は実に生き生きしている。お決まりのセリフである「直ちゃんって本当にバカだよねぇ!!!!」というシャウトは、一度観たらもう忘れられない……。
ちなみにフクナガは原作漫画でも主要キャラとして登場するのだが、ドラマ版では大胆な改変が加えられており、まったくの別人といってもいいくらいである。にもかかわらず、ドラマ版を語る上で欠かせない名物キャラになったのは、鈴木さんの怪演があってこそだろう。
そのほか、秋山の宿敵でもあるヨコヤノリヒコ(演:鈴木一真さん)、ガラが悪そうなのにヘタレなエトウコウイチ(演:和田聰宏さん)、ゲーム事務局幹部の謎めいた女性・エリー(演:吉瀬美智子さん)など、主要キャラから脇役に至るまでクセ強な人物が揃っている。
もちろん、主人公である直と秋山の人間性の魅力も忘れてはならない。いつでもまっすぐで危なっかしい直と、人を騙すことに長けている一方で面倒見もいい秋山。正反対な2人の関係がどう変化していくのかも見どころのひとつだ。