■UMA研究家が語る「最強宇宙人」
――続いては「最強の宇宙人」の候補についても教えてください。
中沢:王道ですが、やはり『ウルトラマン』に登場した「メフィラス星人」が一番ですかね。ウルトラマンとは「引き分け」とされていますが、戦いぶりを見るとメフィラス星人の方には余裕があり、まだまだ秘めた力がありそうな雰囲気でした。
科学力や知性の高さ、作戦の巧妙さも素晴らしいですし、圧倒的な実力を見せつけた上で地球を要求した、まさに最強の敵といえる宇宙人です。
――それ以外に最強の候補はいますか?
中沢:『ウルトラマンA』に登場した「ヒッポリト星人」も外せません。ウルトラ兄弟を全滅させ、ウルトラの父まで倒したあの強さは圧倒的です。
ただ強いというだけでなく、わざわざ自分の姿を巨大化して空中に投影してみせたり、人間を圧倒する心理戦に長けていたりと、いろいろ考えて手を尽くすタイプでした。
――もう1体、最強宇宙人を挙げるなら?
中沢:いろいろ候補がいて悩みますが、ちょっと意外なところで『ウルトラマンタロウ』に登場した「ドルズ星人」を挙げたいです。
ウルトラシリーズの中では珍しく当人が地球に来ず、安全圏から指揮をして、さまざまな作戦を展開しました。人間をさらって怪獣に改造するなど、やっていることはえげつないのですが、自分たちは一切ノーダメージでしっかりと生き延びています。ウルトラマンタロウも手出しできなかった存在として、“ずる賢さ”が際立っていましたね。
■怪獣愛と“最強の敵”の本質
――あらためて、怪獣や宇宙人の“強さ”をどう捉えていますか?
中沢:単なるスペックや武力だけでなく、知恵や心理戦、ずる賢さも“強さ”の重要な要素だと思います。どの怪獣や宇宙人も、それぞれの個性やドラマがあるからこそ、今も多くのファンに愛されているのだと感じますね。
――最後に、昭和ウルトラマンファンや特撮好きの読者へメッセージをお願いします。
中沢:怪獣や宇宙人の強さを比べるのは楽しいですが、それぞれに魅力やストーリーがあります。僕と同じように昭和の『ウルトラマン』シリーズが好きな皆さんが考える、“最強”や“推し”の怪獣&宇宙人もぜひ知りたいですね。
<プロフィール>
中沢健(なかざわ・たけし)
1981年、茨城県生まれ。2001年以降、自作の小説、詩、俳句などが書かれた紙を身にまとった「歩く雑誌」や「動く待ちあわせ場所」として、街中で表現活動を行い、メディアから注目を集める。2009年に長編小説『初恋芸人』で作家デビュー。2016年にはNHK-BSで連続ドラマ化され、2025年冬には原嘉孝(timelesz)主演で映画化も予定されている。現在は、UMA研究家や特撮作品の脚本家としても活躍。10月22日には、怪獣解説監修を務めた『ウルトラマンタロウ大怪獣図鑑』も発売される。


