■大胆な作戦を敢行した「艦隊戦最強」の逸材

 テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』と『SEED DESTINY』、さらに劇場版の『SEED FREEDOM』に登場したのが「マリュー・ラミアス」艦長だ。

 『SEED』の冒頭において技術士官だったマリューは、ザフトの襲撃によって正規クルーをほぼ失った戦艦「アークエンジェル」の艦長になる。

 最初はなし崩し的に艦長になったが、彼女の大胆な操艦指示は、“最強の操舵手”との呼び声も高い「アーノルド・ノイマン」によって実行に移され、やがてアークエンジェルは「不沈艦」と呼ばれるほどの存在になった。

 劇場版『SEED FREEDOM』でマリューは、アークエンジェルで絶望的な戦いを強いられる。大きなダメージを受けた際、マリューは艦長としてクルー全員に退艦を命じた。その後ユーラシア連邦の放った核ミサイルの爆発により、これまでマリューたちの帰るべき場所だった不沈艦は、ついにその役目を終えたのである。

 結果的にさすがの判断力を見せたマリューは、停泊中だった世界平和監視機構コンパスの最新鋭艦「ミレニアム」を奪取。実際のところは、ミレニアムのクルーから譲られるかたちで乗り込み、そのまま艦長を務めた。

 その後、宇宙での艦隊戦は、まさにマリュー采配の真骨頂といえるだろう。ミレニアム単艦で多数の敵艦隊に突撃。多勢に無勢かと思われたが、これまでに培ったマリューの的確な指揮と、それを実現するアーノルド・ノイマンの操艦技術により、ミレニアムは圧倒的な戦闘力を発揮して突破していく。

 最終的には敵旗艦「グルヴェイグ」に対し、マリューは「ぶつけてでも落とす」「突貫する!」のセリフとともにミレニアムの艦首に装備された衝角「ゴウテン」を起動。そのまま艦ごとぶつけるという大胆な攻撃を実行し、ゼロ距離射撃でグルヴェイグを撃沈させた。

 これほどド派手な艦隊戦は『ガンダム』シリーズでも珍しく、マリューの勇猛果敢な指揮は、対艦戦最強と呼ぶにふさわしいものといえる。

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