
ガンダム好きが集まったときの、鉄板の話題といえば「最強パイロット」論争ではないだろうか。大の大人が「キラ・ヤマトだ」「いいや、アムロだ」などと言い合う様は年甲斐もないかもしれないが、いくつになっても盛り上がるのも事実。
しかし、戦いの中で急成長していく主人公たちのそばには、常に彼らを見守る大人たちがいる。中でも母艦における艦長のポジションに就く人物は、主人公にとってのキーマンになることも多い。
そんな艦長たちの中で、もっとも優秀なキャラはいったい誰なのだろうか。そこで今回はガンダムシリーズを代表する名艦長の中で、さまざまな視点から「最強艦長」といえそうな人物たちを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■宇宙世紀を生き抜いたシリーズ屈指の苦労人
『ガンダム』シリーズの艦長の話題で「ブライト・ノア」の名前を挙げないわけにはいかない。初代『機動戦士ガンダム』から、続編の『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』と歴代テレビアニメ作品に出続けて活躍。
劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では再びアムロとタッグを組むなど、歴代の主人公たちが乗る艦の艦長を務めてきた男として知られている。
初代『ガンダム』では成り行きでホワイトベースを任され、10代で正式に艦長に任命されるが、彼の軍歴は決して順風満帆ではなかった。組織に無理難題を押しつけられ、若いニュータイプパイロットと衝突することもしばしば。時には板挟みになり、苦悩する姿が描かれることもあった。
しかしブライトは最前線で経験を積み、次第に頼もしい艦長へと成長していく。『逆襲のシャア』では、アクシズの地球降下を止めるために奮闘する中、大量のミサイルに核ミサイルを潜ませるという策を実行。それに気づいたシャア・アズナブルが、「やるなブライト……」と、珍しく名指しで称賛する場面が印象的である。
また、最終決戦前のブリーフィングの最後に、ブライトが「すまんが、みんなの生命をくれ」と死闘になることを部下に告げるシーンがあった。
彼が率いてきたロンド・ベルの精鋭たちは、そのブライトの言葉にひと言も異論を唱えず、全員が無言の敬礼で応じたのである。ブライト艦長に対する絶大な信頼が感じられる、劇中屈指の名シーンといえるだろう。
さらに時は過ぎ、宇宙世紀0096年が舞台の『機動戦士ガンダムUC』でも、引き続きブライトはラー・カイラムの艦長を務めていた。30代半ばになったブライトは円熟味を増し、部下から「直属の上司にだけは恵まれている」と評価される場面もある。
この世代のニュータイプ、バナージ・リンクスとも出会い、彼にこれまでブライトが関わってきたガンダムパイロットたちの面影を見て助言を送る場面も。そしてその後、ブライトは軍の命令に背いてまで、バナージやユニコーンガンダムの逃亡を手引きするのである。
またブライトは、富野由悠季氏による小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』にも登場している。
初代『機動戦士ガンダム』の頃は未熟な若者だったために失敗することもあったが、経験を重ねるうちに最強の艦長と呼ぶにふさわしい才覚を開花させていった人物といえるだろう。