新世界の神・夜神月の最期が全然違う…『DEATH NOTE』漫画・アニメ・実写化で異なる「知られざる3つの結末」の画像
アニメ『DEATH NOTE リライト ~幻視する神~』 (c)大場つぐみ・小畑健/集英社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ

 2003年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、大場つぐみ氏と小畑健氏による漫画『DEATH NOTE』。単行本の累計発行部数は3000万部を超え、アニメ化や実写化もされたことで、日本のみならず世界中にファンを持つ大人気作品だ。

 言わずと知れた大人気作品であるため、多くの人が漫画、アニメ、実写ドラマのいずれかで見たことがあるだろう。しかしこれら3つの媒体で、それぞれラストシーンの描写が大きく異なっていることをご存じだろうか。

 本記事では『DEATH NOTE』の漫画版とアニメ版、そして実写ドラマ版のそれぞれのラストシーンの違いを紹介する。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます

■なりふり構わず無様な姿を見せた漫画版

 まずは原作である漫画版をもとに、ラストシーンまでの流れを振り返っていこう。

 宿敵であったLに勝利した主人公・夜神月だったが、Lに匹敵する頭脳を持つ後継者のニアとメロという2人の天才がキラ事件の捜査を引き継ぐ。捜査の過程でメロは死亡するものの、ニアは月がキラであると確信。ニアは自身を含む捜査員を一挙に殺害するチャンスを月にちらつかせ、月と協力者の魅上照を罠にはめようと画策する。

 決戦当日、魅上が「デスノート」にニアを含む捜査員全員の名前を記載したことで、月は勝利を確信する。しかし名前を書かれてから1分が経過しても、誰も死ななかった。ニアはメロの死によって隠されていた本物のデスノートの所在を把握し、事前に偽物のノートとすり替えることに成功していた。

 追い詰められた月は、ついに自身がキラであることを自白する。開き直って捜査員たちにキラとしての正義を説くが、その思想に賛同する者はいなかった。月は腕時計に隠し持っていたデスノートの切れ端でニアを殺害しようとするも、捜査員の松田桃太に銃で撃たれ、致命傷を負う。

 ここまでの大まかな流れは、漫画版とアニメ版で共通している。しかし、ラストシーンは大きく異なっている。

 漫画版での月は、血を流しながら這いつくばり、惨めに死神・リュークに助けを求める。しかしリュークは月を見限り、デスノートに月の名前を書き込む。死の恐怖に怯え、無様に喚きながら月は心臓麻痺により死亡した。

 その後、月が死んだ後の世界が描かれ、キラを支持し、彼の復活を願う者たちが月を見上げているシーンで終了する。

 「新世界の神」になろうとした月が、結局は誰にも理解されず、憎しみと恐怖にまみれながら惨めに命乞いをし、そして死んでいくという漫画版のラストシーン。キラとしての歪みを強調するような象徴的なシーンで、非常に衝撃的だった。

 また、一方で、キラの思想が別の人間によって受け継がれていく未来も示唆されており、彼の存在が世界に与えた影響の大きさも感じられる。

■月への救いが垣間見えるアニメ版

 アニメ版も、ラストシーンまでの流れは漫画版とほとんど同じだ。

 ニア殺害に失敗した月が松田に撃たれるところから、独自の展開を見せる。

 アニメ版では、月の敗北に絶望した魅上が自殺。捜査員たちが魅上に気を取られている隙に、月は倉庫から逃亡する。

 逃げ出した月は、傷を庇いながら夕暮れの倉庫街を走る。さまざまなイメージが月の頭の中をよぎり、デスノートと出会う前の自分を思い出す。近くの高台から、リュークは静かにその様子を見下ろしていた。そしてどこか満足げな表情で、デスノートに月の名前を書くのだ。

 倉庫に隠れた月は、階段の途中で力尽きる。薄れゆく意識の中、月は自分と唯一対等な存在であったLの姿を思い出す。そして、まるで眠りにつくかのように月は静かに死を迎えた。

 エンディングでは、キラが死んだ後の世界の様子は描写されず、いつの間にか登っていた月を映しながらアニメ版は終了する。その途中では、月を崇拝し、愛し続けた弥海砂がどこかの建物の屋上で悲しそうに佇む姿も見られた。明らかにはなっていないが、自身も月のあとを追おうとしているのではないかと想像できるような描写だった。

 アニメ版のラストシーンは、漫画版とは対照的に、月の心情に寄り添うものだったと感じる。リュークが月を追い詰めるのではなく、ある種の慈悲を見せているのも、その印象を強める要因となっているのだろう。

 優れた頭脳を持つ青年がデスノートと出会い、正義感から本当に世界を救おうとした。しかし気が付けば、取り返しのつかないところまで歩みを進めてしまった悲劇……。

 最後の瞬間、立場は違えど、唯一のライバルだと認めていたLの姿を思い出す様子も、月の人間性が残っていることを表現していたように思う。

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