■2人の天才の対決に焦点を当てた実写ドラマ
2015年に作られた実写ドラマ版のストーリーは、原作やアニメ版とはストーリーが大きく異なっている。
たとえば、メロはニアの中に存在する別人格として描かれ、単体の人物としては登場しない。また、Lは自身の死を見越しており、死後にニアにキラを追い詰める計画を託していた。
決着の日、亡きLの作戦によって、魅上が持つデスノートが偽物であることに気づけなかった月。追い詰められた月は自身のデスノートにニアたちの名前を書こうとするものの、松田によって撃たれてしまう。
その後、魅上は月を助けるために倉庫に火を放つ。またたく間に燃え広がった炎の中、捜査員たちは避難し、月は1人取り残される。最後の力を振り絞り、床に落ちているデスノートに向かって這って進んでいく月。だが、願いも虚しくノートに火が燃え移り、やがて月自身も炎に包まれてしまった。その様子を見届けたリュークは、「楽しませてもらった」と満足げに去っていった。
実写ドラマ版は一貫して月とLの対決がストーリーの軸となっており、ラストシーンも“2人の天才の決着”という要素が強かったように思う。
月が松田によって撃たれた際も、激昂はするものの、漫画版やアニメ版のように惨めに助けを求めたりはしなかった。最後までキラであることを貫いた、唯一のエンディングだと言えるだろう。
連載当時から今に至るまで、多くの人を魅了し続けている『DEATH NOTE』。特に主人公・夜神月(キラ)の正義と悪が混在した複雑なキャラクター性は、従来の『ジャンプ』主人公としては極めて異質で、読者に大きな衝撃を与えた。
その主人公がどのような最期を迎えるのか。漫画、アニメ、実写ドラマでそれぞれ異なるラストシーンが用意されていたのは、キラというキャラクター、ひいては『DEATH NOTE』という作品が持つ深みによるものなのだろう。
どのラストシーンが最も印象に残るか、見比べてみるのも面白いかもしれない。


