■唯と零のやり取りにニヤニヤが止まらない「零くん熱烈ラブコール!?」
第30話「零くん熱烈ラブコール!?」は、零と唯の関係に焦点が当てられた名エピソードだ。
ある日、唯は零から「味噌汁を作ってほしい」と言われる夢を見る。これは、昭和時代のプロポーズとも受け取れる言葉であり、その日、唯は心ここにあらずで妙に零を意識してしまう。
そして一方の零も、なぜか同じような症状に陥っていた。コマンダーに扮した豪によって24発ものミサイルが直撃しても、無傷でため息まじり。様子が明らかに変だ。
お昼休みに屋上で一人パンを食べていた零だが、意を決して教室へ。お弁当を食べていた唯の卵焼きを貰うと、その美味しさに衝撃を受け「やはり これは唯ちゃんしかいない……今だ 打ち明けるんだ!」と思い立ち、顔を真っ赤にしながら、“大事な話があるから校舎裏に来てほしい”と、唯を呼び出す。
これを愛の告白だと思った千絵や奇面組、ほかのクラスメイトたちは、隠れて見物しに行き、そこに渦中の2人が登場。緊張を見せる唯に対し、零はついに「私のご飯を作ってほしいんだ」と、懇願するのだ。
「えー、や、やっぱし正夢!?」と、喜ぶ唯。さらには「君の手料理が食べたいんだ」という言葉が続き、まるでプロポーズのような雰囲気に。あまりの急展開にさすがの唯も焦っていたが、見ているこちらも思わずニヤニヤしてしまう。
だが、事実は違っていた。実は、零の妹・霧がおたふく風邪で寝込んでおり、母が他界している一堂家ではまともな食事ができていなかった。そのため、零は唯に夜ご飯を作りに来てほしいと、深い意味もなく頼んだだけだったのである。
告白に淡い期待を抱いていた唯だったが、一堂家に訪れ、零や零の父、それから病人の霧や愛犬ラッシーのため、別メニューまで調理する。手際の良さが素晴らしく、心根の優しい唯の一面が存分にうかがえる。
零の家族みんなが美味しそうに食べているのを見て、告白が正夢にならなくても幸せそうな唯の姿にほっこりしてしまうエピソードだった。
ここで紹介した『ハイスクール!奇面組』には、ギャグだけではなく、思わず胸がときめいてしまう甘酸っぱい恋愛エピソードも数多く存在する。昭和という時代背景もあるが、キャラクターの純粋な恋愛模様は今見ても新鮮で感動できる。
原作漫画はもちろん、アニメ版では二頭身にデフォルメされた奇面組が動き回る。豪華な声優陣の演技も相まって、より一層面白さが際立つと言える。ギャグとコメディが織りなす不朽の名作として、これからも語り継がれていくだろう。


