カセット版は約15万!ディスク版も価格高騰中…ファミコン『悪魔城ドラキュラ』はなぜ「プレミア化」するのか【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
ファミコンディスクシステム『悪魔城ドラキュラ』(コナミ) 写真/ふたまん+編集部

 数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?

■ディスクシステムの大ヒット作品に幻のカセット版が存在する!?

『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長(写真/ふたまん+編集部)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第14回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回ご紹介するのは、コナミのアクションゲーム『悪魔城ドラキュラ』。サードパーティ初のファミリーコンピュータ ディスクシステム用タイトルとして1986年に発売されたソフトです。

 ただ、実はその後、カセット版もリリースされているんです。現在、当店ではディスク版を9900円(税込)、カセット版を14万9600円(税込)で販売しています。

 カセット版が珍しいことはのちほど詳しく説明しますが、最近ではディスク版も相場が上昇し、それなりのお値段になってきました。

 本作は発売当時とても話題になったタイトルで、定価も2980円と安く、買った人は多かったはずです。ただ、ディスクシステムのディスクカードは、当時おもちゃ屋さんなどに設置されていた『ディスクライター』で、新しいゲームを500円程度で書き換えることができました。なので、他のタイトルに書き換えてしまって、オリジナルの状態のまま残っているケースは案外、少ないのかもしれません。人気のあった『悪魔城ドラキュラ』は、とくに多くの人が利用したでしょうからね。

■もともとカセット版として開発され、海外ではカセットで発売

 さて、『悪魔城ドラキュラ』のカセット版が発売されたのは、すでにスーパーファミコンが普及していたファミコン末期の1993年。やはりディスクシステム用のゲームだった『もえろツインビー シナモン博士を救え』、『バイオミラクル ぼくってウパ』も同じ時期にカセット版が出ていて、現在では3本ともかなりのプレミア価格となっています。

 高値の理由は「数が少ないから」。ファミコンのカセットは、任天堂が各社から委託を受けて生産していましたが、なかには自社生産するメーカーもありました。コナミもそのひとつ。任天堂への発注はある程度まとまった本数が必要だったと聞きますが、自社生産の場合は自由に調整可能で、少ない本数でも発売できたんじゃないかと思います。

 だから、もともと生産本数が少なかったことに加えて、ファミコン末期の発売であること、そしてディスク版がポピュラーだったことで、カセット版はあまり売れなかったんじゃないでしょうか。

 ところで、海外では一部を除いてディスクシステムが販売されなかったため、ディスクシステム用のゲームがNES(ニンテンドー・エンターテインメント・システム)用カセットでリリースされたりしています。 

 有名なのは『ゼルダの伝説』(任天堂/1986年)。任天堂の公式サイトでも紹介されているのですが、ディスク版とカセット版でサウンドが違うんです。というのも、カセット版は、ディスクシステムが内蔵している音源を使えないから。1994年にはカセット版が国内でも発売されましたが、サウンドは海外版と共通でした。

 『悪魔城ドラキュラ』も、海外ではカセットでリリースされましたが、『ゼルダの伝説』とは異なり、サウンドに違いは見られません。もともと、カセット用のタイトルとして開発されていたようで、ディスクシステムの内蔵音源を使っていないんですね。 

 これは私の想像ですが、現在の海外での『Castlevania』(英語版タイトル)の人気の高さを考えると、はなからNESをターゲットに企画されていたのかも……!? なお、1993年発売の国内向けカセットも海外版と同様、サウンドにディスク版との違いはありません。

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