『ハンサムな彼女』可児収に『こどものおもちゃ』加村直澄、『ときめきトゥナイト』アロンも…黄金期『りぼん』“イイ男”なサブキャラ男子の画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル ⓒ集英社

 今年で創刊70周年を迎えた『りぼん』(集英社)。恋愛にファンタジー、ギャグにミステリーと、さまざまなジャンルの作品が盛りだくさんで少女たちの心を掴んできた。なかでも90年代の「りぼん黄金期」は、少女漫画史に残る名作たちが多く生まれた時期でもある。

 そんな本誌では、今も昔もヒロインたちのキラキラした恋愛模様が繰り広げられる恋愛漫画が人気を誇る。ヒロインが恋に落ちるキャラクターに目が行きがちだが、あらためて見てみると、ヒロインに思いを寄せるサブキャラにも魅力的なイイ男が多いことに気づく。

 そこで今回は、ヒーローよりもイイ男だと思ったサブキャラたちを「りぼん黄金期」の作品からご紹介しよう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■彼女の幸せを願って身を引いた…『ハンサムな彼女』可児収

 1988年から連載された、吉住渉氏のヒット作『ハンサムな彼女』。若手女優として活躍する萩原未央を主人公に、芸能界に身を置く彼女の活躍や苦悩、そして、中高生の甘酸っぱい恋愛模様が描いた作品だ。

 作中で「当て馬キャラ」として登場するのが、関西弁が特徴的な美少年・可児収だ。メインヒーローである熊谷一哉の友人である収は、一哉の自主制作映画にカメラマンとして参加するため大阪から転校してくる。収は未央が一哉に惹かれていることに気づいていながらも、想いを止められず積極的に未央を口説いていた。

 一方、未央は一哉に夢中だったため、収の片想いは長く続く。しかし、未央が一哉へ告白し、フラれてしまったことをきっかけに収の恋は動くことに。失恋で傷ついた未央は、前を向くために収と付き合うことにしたのだ。

 ようやく想いが通じ、未央との穏やかで楽しい日々が始まる。収との時間の中で、未央の心の傷も少しずつ癒えていった。

 ところが、幸せな時間は長くは続かない。一哉が別の女性と親しくする姿を見て傷つく未央を目の当たりにした収は、静かに身を引くのである。

 自分の心を守るためだったかもしれないが、愛する女性の気持ちを優先して身を引く優しさに、グッときてしまう。お互いに想い合っているのに、不器用でなかなかうまくいかない未央と一哉に振り回された形となった収だが、彼女を思いやる姿や、精神的にも落ち着いた言動は魅力的だった。

 未央と収は美男美女カップルとして、応援するファンも少なくなかった。別れた後も、未央の良き理解者として支え続けた健気さもまた、収がイイ男である理由だろう。

■究極の自己犠牲で紗南を守った『こどものおもちゃ』加村直澄

 1994年から連載が開始された小花美穂氏による『こどものおもちゃ』は、『こどちゃ』の愛称で親しまれ、アニメ化もされるなど、人気を博した作品だ。

 本作の主人公は、人気子役の倉田紗南。そして、当て馬キャラとして登場するのが、紗南と同じく芸能界で活躍する子役・加村直澄である。

 中性的な顔立ちの美少年で超売れっ子タレントの直澄は、紗南との共演も多く、関係を疑われることもしばしば。そして噂通り、実際に直澄は紗南のことを想っていた。

 温厚な彼だが、紗南に危害を加えようとした自身のファンに対し、普段の姿からは想像もつかない形相で怒りを見せる場面も印象的だった。

 そんな直純は、自身が想いを寄せる紗南と本作のメインヒーローである羽山秋人の関係を応援してしまうほどのお人好しでもある。紗南と直澄のスキャンダルを目にした秋人が、別の女の子と付き合い始めてしまい、ショックを受けた紗南を献身的に支えたのも直澄だった。

 直澄のイイ男ぶりが最もよく分かったのが、秋人がロスへ引っ越さなければいけなくなり、紗南がそのショックから心を閉ざしてしまった時のこと。

 寂しさから「直澄君と付き合ってればよかった」と言う紗南に対し、「…僕は…紗南ちゃんが… 好きだよ たぶんずっと…」と、想いを伝えつつも「でも… 僕のこと好きなんて言う紗南ちゃんは嫌いだ!」と、突き放す。

 長年想い続けた紗南からの願ってもない言葉だったはずなのに、彼女のために拒絶できる強さ。しかも、この時直純はまだ中学生だったことを考えると、将来有望すぎるだろう。

 その後も、ひたすらに紗南を想い、守り続けた直澄。リアルタイムで読んでいた当時は、ちょっと危ない魅力を持つ秋人に惹かれていた筆者だが、大人になってあらためて見てみると直澄のイイ男ぶりに心を掴まれてしまった。

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