■テクノスジャパン入社の年にはじめて『ドラクエ』を体験
当時、大ヒットしたファミコンの『ドラクエ』シリーズですが、私は個人的に、この『3』を含めて、リアルタイムでは遊びませんでした。1作目が出た時、鳥山明さんの絵はすごく魅力的に感じたんですけど、ロールプレイングゲームというジャンルに心が動かなかったんですよね。好きなゲームセンターのゲームを家でも遊びたい派だったもので……。だから、『ファイナルファンタジー』(スクウェア)も遊んだことがありませんでした。世の中の流行に対して、ひねた感情があるのかもしれません(笑)。
でも、テクノスジャパンに入社し、ゲームの開発に携わることになった頃に『ドラクエ4』が出たんです。「前作は社会現象にまでなっていたのに、やらなくてもいいものか?」と思い、ついに購入しました。1作目〜3作目で描かれていた世界が、4作目ではいったんリセットされていて、初めてでも遊びやすかったですね。
その後、『1』『2』と遊んで楽しみました。ただ、『3』は自由度が高すぎて……。最初に職業を選ばなければならないことで、何を選ぶべきか、有利不利はあるのかとか、ものすごく考えて、選べなくなっちゃって(笑)。そこで止めてしまった記憶があります。
『ドラクエ』でRPGに対する知見を得たものの、テクノスジャパンで活かす機会はなかったですね。ちょうど入社した頃、『すごろクエスト』という、すごろくにRPGの要素を採り入れたゲームが開発の大詰めを迎えていました。ですが、テクノスジャパンに求められるのは、やっぱりボカボカ叩くゲーム(笑)。『すごろクエスト』はスーパーファミコンで続編が出ましたが、その後にはつながらなかったようです。
ちなみに、『すごろクエスト』のゲームデザイナーは私の先輩で、くにおくんシリーズのパッケージイラストを描いていた方でもあります。だから、『すごろクエスト』のパッケージの絵も、どこかくにおくんテイストなんですよね。
※ソフトの値段や状態などは取材当時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。