■ゲームだけじゃない、時計としての役割も?

 ゲームウオッチはゲームだけじゃなくて、寝るときに枕元に置いて目覚まし時計代わりにも使いました。アラームもついてたし、立て掛ける用のスタンドもついてたし、時計代わりに使えましたからね。……というかそもそも“ゲーム&ウオッチ”だから。時計として使えるの当たり前なんですけどね。

 ゲームウオッチって裏蓋がスライド式で、そこに電池が入ってるんです。それも丸い水銀電池。それまで単一とか単二の乾電池しか知らなかったから、最初に見たとき、

 「何これ? 何この丸いボタンみたいなのは?」

 当時の子どもたちは、あれで初めて水銀電池を知りました。

 その裏蓋がすぐになくなっちゃうんですよ。ちょっとしたことですぐに外れてどっかいっちゃう。そうするとうちの親父が鉄板とかプラスチックで代わりの蓋を作ってくれて。だからいま実家にあるゲームウオッチはほぼ親父の手作りの蓋。いまでもまだ使えますよ。

 ゲームウオッチが爆発的に売れたことで類似品のゲーム機もいっぱい出ました。『パックマン』『モンスターパニック』『クレイジー・クライマー』『インベーダー』。ゲームセンターにあるゲームの携帯版が次々と発売されました。

■ファミコン登場がもたらした革命

 そしてゲームウオッチのあとに登場したのが『ファミリーコンピュータ』。

 ファミコンがすごかったのは、ゲームセンターのゲームが画面も一緒でそのまま家でできるところ。いままでゲーセンで50円入れてやってたゲームが永遠にできる。しかもファミコン本体1個あれば、ソフトを入れ替えるだけでいろんなゲームが楽しめる。

 そんなファミコン全盛のなかで、うちにあったのがなぜかエポック社の『スーパーカセットビジョン』。友だちがみんなファミコンやってるなかで、僕だけスーパーカセットビジョン。ファミコンのゲームソフトは毎月何種類も発売されるのに、スーパーカセットビジョンは2カ月に1本ぐらいしか出ない。

 でもファミコンより先にサッカーゲームのソフトが出たし。野球ゲームもファミコンは打率が変わらないけど、スーパーカセットビジョンはちゃんと打率が変わるし。

 「お前のファミコンはどれだけ打っても打率変わんねーだろ。ウチのは打つと打率変わるんだぜ」

 それを学校で売りにしてました。それぐらいしかファミコン相手に太刀打ちできるところなかったから……。

 ファミコンが出てからは、もう誰も過去のゲームに触れることもないぐらい、みんな熱中していきましたね。まさに時代を変えた革命的なゲーム機でした。

【プロフィール】
土田晃之(つちだ てるゆき)
1972年9月1日生まれ、東京都練馬区出身・埼玉県育ちのお笑いタレント、司会者、コメンテーター。太田プロダクション所属。1991年にお笑いコンビ「U-turn」としてデビューし、解散後はピン芸人としてバラエティ番組や情報番組で幅広く活躍。ガンダムやサッカー、家電など多彩な知識を持ち、親しみやすいトークで人気を集めている。『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』が、2025年8月20日より双葉社から発売。

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