各地に点在する「真相の断片」…レトロ『ポケットモンスター』現在も謎に包まれた「意味深スポット」の画像
ゲームボーイソフト『ポケットモンスター赤』(任天堂) 写真/ふたまん+編集部 (C)1995 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.

 「ゲットだぜ!」のキャッチフレーズでおなじみの冒険RPG『ポケットモンスター』シリーズ(任天堂)には、一見なんでもないスポットに意味深な“謎”がちりばめられていることが少なくない。

 何気なく立ち寄ったダンジョンに奇妙な日記や看板が置いてあるのに、真相が明かされないままクリアできてしまう。そうした場所は『ポケモン』シリーズにおける一種のお約束とも言えるだろう。

 絶妙に提示された謎はプレイヤーの心にモヤモヤを残し、なかには友達と「あれはいったいなんだったのだろう?」と語り合うきっかけにもなった。小さい頃、似た経験をした読者もいるのではないだろうか。

 そこで今回は、クリアするだけなら簡単だが、情報を集め始めると解けない謎に引き込まれてしまう「意味深スポット」に迫ってみよう。

※本記事には各作品の内容を含みます

■なぜここにグレンジムの鍵が?『赤・緑』ポケモンやしき

 「意味深スポット」は、シリーズの元祖『ポケットモンスター 赤・緑(以下、『赤・緑』)』の時点で、すでに存在していた。その代表格が、グレンタウンにある廃墟「ポケモンやしき」である。地下にはグレンジムの扉を開ける「ひみつのカギ」が落ちており、ストーリー攻略上、必ず立ち寄るダンジョンとなっている。

 ひみつのカギを拾うだけならたいして難しくもないが、所々に落ちている日記を読んでいくと、しんしゅポケモンのミュウと、その遺伝子から生み出されたいでんしポケモンのミュウツーをめぐるストーリーが浮かび上がってくるのだ。

 複数ある日記は、フジ博士という科学者が書いたものである。そこには、「南アメリカのギアナで新種のポケモン・ミュウが発見された」、「ミュウが子どもを生み、ミュウツーと名付けられた」といった記述があり、過去に何らかの研究がされていたことがうかがえる。

 しかも「ポケモン ミュウツーは つよすぎる ダメだ… わたしの てには おえない!」という記述も……。

 ミュウツーといえば、遺伝子改造を施されてあまりにも強すぎる力を得たポケモンだ。日記の主がミュウツーの誕生にかかわり、非人道的な実験をしたのかもしれない。

 では、なぜこのいわくつきのポケモンやしきに、グレンジムの鍵が落ちていたのだろうか。グレンタウンを探索するとわかるのだが、グレンジムリーダーのカツラはフジ博士と親交があったようで、鍵はカツラ本人が何らかの理由で落としたものだと考えられる。

 さらに、フジという名前はシオンタウンで主人公に「ポケモンのふえ」をくれた老人と同名だ。ポケモンやしきで何が起こったのか、この2人は真相を知っているのだろう。

■暗号を解読すると見える“古代人”の存在『金・銀』アルフのいせき

 次は、『ポケットモンスター 金・銀(以下、『金・銀』)』から、1500年以上前に造られたとされる「アルフのいせき」を見てみよう。

 ここにはアルファベットによく似たポケモン・アンノーンが生息しており、遺跡内部の石板パズルを解くことで、アンノーンが野生で出現するようになる。

 太古のロマンを感じさせる場所だが、『金・銀』時点ではアンノーンが出現するだけで目立ったイベントは発生しない。ストーリー攻略だけを考えるなら、一度立ち寄れば忘れてしまうような、ある種の肩透かしスポットだった。

 アルフのいせきに気になる謎が生まれたのは、『金・銀』に続く『ポケットモンスター クリスタルバージョン』からだ。

 遺跡内にアンノーンを模した暗号文が追加されており、それらを解読していくとアルフのいせきに生きていた古代人のメッセージが浮き彫りになってくる。これを見つけたときは『金・銀』の分もワクワクしたものだ。

 メッセージは「わたしたち いちぞく ことば ここに きざむ」「かれら いしき さっちする ちからあり そと こばむ」など断片的なもので、古代人の全容が語られるわけではない。

 だが、少なくとも古代人がアンノーンを文字として使っており、そしてアンノーンが1500年以上前から存在していたことは間違いないだろう。

 謎が謎を呼ぶ古代人のメッセージだが、とりわけ気になる文言がある。

 「かれらの ために わたしたち たびだつ」

 メッセージを残した古代人はアルフのいせきを離れ、どこかへ旅立ったようだ。はたして彼らはどこへ向かい、その子孫は何をしているのだろうか。筆者は当時「彼らに会ってみたい」と思い、ジョウト地方を隅々まで探索したのが懐かしい。

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