
『ガンダム』シリーズのテレビアニメ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』(日本テレビ系)では中心人物だった「シャリア・ブル」。彼はニュータイプでありながら、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』での出番はわずか1話のみ。劇場版にいたっては登場しないという扱いだった。
実はテレビアニメ『機動戦士ガンダム』は全52話を予定されていたが、諸事情によって43話に短縮された。富野由悠季氏が用意した52話までのシノプシス(あらすじ)は通称「トミノメモ」と呼ばれ、アニメには登場しなかった知られざるニュータイプのことも書かれていた。
そこで今回は、書籍『機動戦士ガンダム 記録全集5』(日本サンライズ)に収録されたトミノメモに登場する「幻のニュータイプ」たちをあらためて紹介したい。
※本記事は作品や「トミノメモ」の内容を含みます。
■ララァを危険視したニュータイプになりかけの少年
トミノメモにおいて、おそらく成長途上のニュータイプを意味すると思われる「半エスパー」と紹介されていたのが、シャリア・ブルの元部下でありシャアの部下になった「パッカデリア」という少年だ。彼はモビルスーツ(MS)「ガルバルディ」に搭乗する。
アムロ・レイとララァ・スンが戦っているところに接近したパッカデリア。彼は「共に死ね! ジオンにとって、ララァは、裏切りとなる!」「シャア大佐! ララァは危険です! 私にはきこえた。敵の少年とざれ合うララァを!」と叫び、ララァの危険性を感じ取った。
その後、パッカデリアはカイ・シデンとハヤト・コバヤシを翻弄するが、隙を突かれて倒されている。
「半エスパー」のパッカデリアは、本物のニュータイプであるララァやアムロへの嫉妬心を隠さず、率直に危機感を訴えたのかもしれない。
■ガンダムを打倒すべく投入されたニュータイプたち
ララァが死に、脅威が増したアムロとガンダムに対抗するため、ギレン・ザビが名前を挙げた次なるニュータイプが「ダルダン」だ。
キシリアの特殊部隊にいたというダルダンだが、ギレンによれば彼はニュータイプではあるが、実力は「かなり落ちる」と評した。それでもシャアは「パワーで対抗しましょう」と、MSのパワーで対抗すればいいと語っていた。
なお、ダルダンに乗せるMSとしてゲルググの名が挙がっていたが、トミノメモにおけるゲルググとは、テレビアニメでシャリア・ブルが搭乗した「ブラウ・ブロ」の原名で、ニュータイプ用の機体であることが示唆されている。
そしてゲルググに乗ったダルダンは、アムロのガンダムと交戦して撃破される。
さらに、そのダルダンより優秀とされるジオンのニュータイプが「ゴラ」だ。戦闘中にゴラの意識を感じ取ったアムロは、「ララァの再来か?」と恐れたほどのニュータイプである。
のちにジオングを与えられたゴラと、アムロのガンダムが激突。二人のニュータイプは予知能力を全開にして戦うが、辛くもアムロが勝利する。
だが、ゴラとの戦いに勝利したアムロは「これはニュータイプのやることではない」「憎悪を増幅させるだけ」と怒りをあらわにし、調和がとれたララァとは明確な違いがあることを述べた。