■生命力を吸いとって明かりを灯す「ヒトモシ」

 「ヒトモシ」は、小さなローソクに手が生えたような姿をしたポケモンだ。常に微笑んでいるような口元や、往年の『オバケのQ太郎』のQ太郎を思わせる足元も愛らしい。標準体長は0.3mとかなり小型で、思わずペットにしたくなるような魅力を持っている。

 だが、ヒトモシをそばに置く時には、注意したほうがいいかもしれない。初登場となった『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』のポケモン図鑑によると、「ヒトモシの 灯す 明かりは 人や ポケモンの 生命力を 吸って 燃えているのだ」と、書いてある。

 さらに『ポケットモンスター ソード』では「迷子の 手を 引き 霊界へと 誘う」、『ポケットモンスター シールド』では「吸い取る 命が 若ければ 若いほど 頭の 炎は 大きく 妖しく 燃え上がる」とも記述がある。

 これは前述のフワンテと同様、子どもが神隠しに遭っていることを示唆しているのだろうか。ぼんやりと曖昧な表現が、かえって不気味である。

 こういった不穏な要素を踏まえて、あらためてその姿を見てみると、その体は常に影をまとったような灰色で、灯す炎は非現実的な紫色をしている。可愛らしく見える笑みも、どこか不敵に見えてくるから不思議だ。

 これ以上ないほど、ゴーストポケモンらしい設定を持つポケモンである。

 

 今回紹介した3匹以外にも、ポケモン図鑑に恐ろしい設定が記されているゴーストタイプのポケモンは多い。暑い夏の夜長に、歴代『ポケットモンスター』シリーズをプレイし、ゴーストタイプのポケモンたちの図鑑を読みかえして涼んでみるのもまた一興かもしれない。

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