■連載当時と現在で変わったことも反映

――それは面白そうですね。『ビューティーポップ』の続編『ビューティーポップ Returns』はどうでしょう。原作は高校生で終わっていますが。

其田:続編を専門学生編か社会人編にするかという中で、あらい先生が専門学生編を選びました(作中で鳴海と落合は大学生)。ヒロインの綺里と鳴海が結婚していることは、最終回で明らかになっていたのですがその続きから物語は始まります。アメリカに旅立った綺里ですが、実は2年後に日本に帰ってきていて日本の美容専門学生になっていたんです。

――ファンとしては、今後のストーリーが楽しみです。

其田:ただ、2000年代当初はスマホが出てきませんが、今回の続編は現代が舞台になっているのでみんなスマホをもっています。そのあたりにも注目して見ていただけたらと思います。。

 さらに大阪のグラムール美容専門学校さんに取材協力をいただいてます。今の美容師を目指す方々のリアルな技術や、コンテストで勝ったり負けたりする熱い世界をあらい先生が直に感じ取って描いていらっしゃいます。

――この30年くらいで、少女漫画に出てくるヒーロー像が変わってきたなと感じることはありますか?

萩原:ヒーロー像は変遷がありますね。昔は、ちょっと近寄りがたいSっぽいタイプがすごくウケていたんですが、今は誠実だったり、優しかったり、ヒロインを溺愛してくれるタイプも人気です。

其田:読者が好きなヒーローのタイプが多様化していますよね。八神千歳先生の作品なんかは、まさにヒロインの周りに3タイプくらいのイケメンがいます。

『ちゃおフェス』の単行本販売ブースに並んでいた八神千歳先生の『溺愛ロワイヤル』 撮影/ふたまん+編集部

――『ビューティーポップ』も、かなり多様なタイプの男の子が出てきていましたよね。

其田:もう20年以上前から、どんな読者も好きになる男の子がいる、みたいな先進的な作品でしたね。

――ヒーロー像は変わりつつも、女の子たちの「悩み」に寄り添う姿勢は変わらないように感じます。例えば、やぶうち優先生の『ないしょのつぼみ』は、かなり踏み込んだテーマでした。

其田:1巻から4巻まで担当していました。学習的な要素、性教育を意識して、やぶうち先生にお願いしたんです。「お父さんとお風呂に入るのは何才まで?」とか「毛が生えてきたらどうする?」とか、生々しい悩みを真正面から取り上げました。

――やぶうち先生は、そういった挑戦的なテーマをまっすぐ取り上げた作品が多い印象です。

其田:先生ご自身が、毎回「仕掛けよう」と思って作られています。そして、やぶうち先生は本当にすごくて毎回ヒロインやヒーローの造形が変わるんです。絵がどんどん進化している作家さんですね。デビューもすごく早くて、中学2年生の時です。

 私はやぶうち先生と同い年なので、その進化を肌で感じています。『水色時代』のバブルの頃のヒロイン像と令和の上杉くんとでは、全然違います。

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