
7月18日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、吾峠呼世晴氏のヒット作『鬼滅の刃』を原作とした劇場版2作目だ。宿敵・鬼舞辻無惨との最終決戦の舞台となる鬼たちのアジト・無限城では、上弦の鬼と鬼殺隊による壮絶な死闘が繰り広げられていく。
美しい映像と迫力のある演出で描かれる彼らの戦いは、多くのファンの心を掴み、公開から3週連続で観客動員数首位を記録。日本映画史に残る大ヒットとなるのは、間違いないだろう。
そんな新作映画において、目覚ましい活躍を見せるメインキャラクターの1人が我妻善逸である。今回は、我妻善逸の魅力について語りたいと思う。
※本記事には作品の内容を含みます
■かまぼこ隊の1人! 善逸は炭治郎の同期でビビり?
我妻善逸は、主人公・竈門炭治郎の同期として鬼殺隊に入隊した剣士である。鬼殺隊の入隊を選別する最終選別において、泥で汚れた風貌から、当初はかなりの手練れであるかのような印象を与えた。しかし、蓋を開けて見ると、善逸の性格はかなりのビビりであることが判明する。
過酷な選別を生き抜いたにもかかわらず、「死ぬ死ぬ ここで生き残っても結局死ぬわ 俺」と、絶望した表情をしていたのが印象的だった。
ネガティブな発言も多く、小心者である彼は、その後も幾度となく前線から逃亡しようとしたり、幼い子どもに“俺を守ってくれ”と懇願したりと、序盤では情けない部分が目立っていた。
その一方で、直感型の炭治郎や、野生児の嘴平伊之助に比べると常識人な一面も持ち合わせている。同期隊士のなかでは唯一の町育ちのため、いろいろな知識があるという点では、頼りになる存在でもあるようだ。
ちなみに、初登場時に汚れた風貌だった理由は、最終選別へ行くのを嫌がり、師匠にめちゃくちゃビンタされたためだとアニメ版「大正コソコソ噂話」で明かされていた。
20人近くいた候補者の中で、たった5人しか生き残らなかった厳しい難関で善逸がどのようにして生き延びたのか、気になるのは筆者だけではないはずだ。
■女の子に目がない? 悲しき善逸の過去
善逸と言えば、女性にめっぽう弱いところも特徴だろう。最終選別後、鬼殺隊となって再登場した時も、見知らぬ女性に“頼むよ! 結婚してくれ!”と涙ながらにすがりつく姿を見せていた。
音柱・宇髄天元に対しても、一般的な隊士であればその威圧感に萎縮してしまうところを、「嫁が3人いる」という事実を知った途端、嫉妬心から激しく掴みかかっていくほど生粋の女好きである善逸。
そもそも彼が剣士になったきっかけは、女性に騙されて作った借金を鬼殺隊の育手が肩代わりしてくれたから、というあまりにも悲しい過去に起因する。
ことあるごとに女性にちょっかいをかけてきた善逸だが、炭治郎の妹で鬼である禰豆子に一目惚れしてからは、彼女を溺愛するようになった。その想いの強さは筋金入りで、無限列車編では意識のない状態でも禰豆子を守ろうとし、「禰豆子ちゃんは俺が守る」と寝言で勇ましく宣言するほどであった。
一見、どうしようもなく思える善逸の女好き。しかし、この性格は時に彼の言動力となり、蝶屋敷編では、蟲柱・胡蝶しのぶに手を握られて「一番応援していますよ」と言われたことで奮起。異例の速さで「全集中・常中」を習得する結果に繋がったりもしている。
そう考えると、善逸の“どうしようもなく女好き”という一面も捨てたものじゃないのかもしれない……?