■呪われし貝が貼りついた人間が血みどろに…恐るべき円盤生物の凶行

 最後に取り上げたいのは1975年放送の『ウルトラマンレオ』の第47話「恐怖の円盤生物シリーズ! 悪魔の星くずを集める少女」の回だ。

 ウルトラマンレオの抹殺を目論む「ブラック指令」によって召喚された円盤生物「ブラックテリナ」が地球に舞い降り、無数の分身「テリナQ」をまき散らす。見た目は美しい桜貝にも似ているテリナQだが、それが人間の目や顔に貼りつくと、その人間は血みどろになって死に至るという恐ろしいものだった。

 そもそも全身黒ずくめでヒゲ面のブラック指令の存在自体、相当不気味なのだが、このエピソードでは冒頭から顔面が血まみれになりながら苦しむ人間が現れ、いきなりゾッとさせられる。

 さらに、テリナQを介してブラックテリナに操られた人間たちが、おおとりゲン(ウルトラマンレオ)を次々襲撃。その中に顔色が極端に悪い女性がいるのだが、この人物がとにかく不気味で怖いのだ。

 初登場時は不気味な表情を浮かべるだけで無言で去っていったが、その後はビルの上からゲンに向けてブロックを落としたり、エレベーターのドアが開いた瞬間に目の前に現れ、高笑いしながらゲンに襲いかかるなど、ホラー映画のような展開が待っている。

 そして、これらの襲撃をかわし、女を操っていたテリナQを引きはがすことに成功したゲンだったが、今度はゲンの目のあたりにテリナQが貼りついてしまう。

 顔面を血に染め、必死にテリナQをはがそうともがくゲンの姿は、いまだに忘れられないトラウマ級の恐ろしさだった。


 このように昭和『ウルトラマン』シリーズでは、子どもには少々刺激の強いエピソードもときおり描かれていた。大人になった今でも、ふと思い出すほどのインパクトがあっただけに、令和の時代でも十分に恐ろしさを堪能できるはずだ。

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