画面の粗さがむしろ怖い… 今遊んでもゾッとする初代プレイステーション「都市伝説系」恐怖ゲーム名作  『学校であった怖い話S』『夕闇通り探検隊』に『ゲゲゲの鬼太郎』の本格ホラーもの画像
『プレイステーション クラシック』(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

 1990年代に起こった「都市伝説」や「学校の怪談」系のブーム。全国各地でささやかれた「都市伝説」の数々は、さまざまなかたちで語り継がれてきた。

 子どもたちの間で広まった怪談、大人たちも恐怖するおぞましい噂話……など、そのディテールは実に多種多様で、いまやホラーにおける大人気ジャンルのひとつとなっている。

 そんな都市伝説がブームになった1990年代、ゲームの世界においても人気を博す。ちょうどその頃発売された「PlayStation(PS)」では数多くのホラーゲームが発売されたが、やはり都市伝説をテーマにした作品は目立った。

 もちろん現在のゲームハードと比べると、当時のPSの映像表現など劣る部分もあるが、逆に初代PSの粗い画質だからこそ、余計に恐怖を感じたという部分も確実にあった。

 そこで今プレイしても怖さを感じる「都市伝説」をテーマとした初代PSのホラーゲームを振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■豊富なシナリオ、演出、映像表現が見事だった傑作『学校であった怖い話S』

 怖い話や奇妙な噂話は、往々にして子どもたちを介して自然と広まるもの。そんな学校に焦点を当てたホラー作品が、1996年にバンプレストから発売された『学校であった怖い話S』だ。

 高校の新聞部に所属する生徒たちが、それぞれ取材してきた「怖い話」を持ち寄り披露していく、サウンドノベル形式のアドベンチャーゲームとなっている。

 実は本作は1995年にスーパーファミコン用ソフトとして発売されたタイトルのリメイク作品で、登場人物の年齢にふさわしい演者に一新したり、充実したシナリオがさらに追加されたりと、さまざまな面でパワーアップしていた。

 基本的には生徒らの怪談を読み進めていく形式だが、語り手の順番や選択肢によって物語が変化。ホラー展開だけでなく、なかにはSFやコメディタッチの噂話もあり、実にバリエーション豊かなシナリオだった。

 そんな本作の最大の怖さのポイントは、なんと言ってもキャラクターの表情や一枚絵に実写画像が採用されている点だろう。SFC版ではもっと粗い画像だったが、よりリアルになったPS版では昭和のホラー映画のような雰囲気が漂う。

 そしてカチコチと鳴り続ける時計の音がとにかく不気味で、虫の鳴き声、犬の遠吠えといった環境音が恐怖心を煽りまくるのだ。

 また、突然現れる怪奇の姿にビックリさせられることも一度や二度ではない。とくに画面上部から「逆さ女」が現れたときは心臓が飛び出るほど驚かされた。

 しかもPS版では実写ムービーまで追加されたことで、良質のホラー映画を見ているような恐怖体験が味わえる。

■心霊スポットを巡る女子高生たちのリアルを描いた『トワイライトシンドローム』

 ゲーム開発会社「ヒューマン」といえばホラーアドベンチャーの傑作『クロックタワー』シリーズでも有名だが、同社が1996年にPS用ソフトとして発売したのが『トワイライトシンドローム』の『探索編』と『究明編』だ。

 同作は武蔵野市の外れにある「雛城町」を舞台に、女子高生たちがさまざまな心霊現象に立ち向かい、その謎を解明していくというストーリー。

 基本的には物語を追いながら適切な選択肢を選んでいくアドベンチャーゲームだが、プレイヤーは横スクロール画面の探索パートで彼女らを操作し、真実に迫っていくこととなる。

 実際の役者の動きを緻密なドット絵で表現した映像のリアリティは圧巻。ディテールにまでこだわって作られた世界観で描かれる恐怖シーンは非常に臨場感があった。

 『探索編』の序盤、夜の学校の女子トイレで「花子さん」に遭遇した場面はとにかく怖い。とくに手を洗った際、目の前の鏡に映る花子さんの不気味な姿は鳥肌モノ。必死に校舎内を逃げ惑い、ついに屋上で追い詰められるのだが、そのとき花子さんが浮かべた不気味な笑みが忘れられない……。

 『トワイライトシンドローム』は女子高生たちの日常を描きつつ、どこかでうごめく“異質な存在”をにおわせる不穏な展開が秀逸だった。都市伝説を描いた作品として高い完成度を誇るだけでなく、90年代の世相までしっかり作中で表現された貴重なホラーゲームといえるだろう。

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