■『ジークアクス』勢は知らない主役機のギミックも!

 テレビ版と劇場版では、主役機のガンダムの武装や機能などにも大きな差異が見られる。たとえば武装面では、劇場版だとビームジャベリンやガンダムハンマーの出番がなくなり、ビームサーベルやビームライフルを使う比重が増えた。

 さらに大きなところでは、コア・ファイターやGメカといった機体を用いた“変形合体機能”の出番がほぼ消滅した点がある。

 『ジークアクス』からの視聴者は知らないかもしれないが、実はガンダムには複数のメカがドッキングする「変形・合体ロボ」の要素もある。

 劇場版でこれらの合体機能が使われることはなく、Gメカの重戦闘機形態であるGファイターに至ってはコア・ブースターという新たな機体に変わり、ドッキング自体が削除された。

 なお、コア・ファイターは戦闘機としての出番は何度かあり、第3作目「めぐりあい宇宙編」ではテレビ版と同じく重要な役割を担うことになる。

 テレビ版を観るとガンダムは頻繁に変形・合体を繰り返すことから、昨今のイメージとはややかけ離れた印象を受けるだろう。『ジークアクス』のファンは、むしろそちらのギャップに驚くかもしれない。

 

 初代『機動戦士ガンダム』の劇場版3部作は、うまく再構成されており短時間でメインストーリーを知ることができる。そのかわりキャラクターの顛末が変わったり、メカの出番や設定がカットされたりと、一部改変されている点についてはあらかじめ知っておくべきだろう。

 しかし『ジークアクス』からガンダムを知ったファンが、初代ガンダムのことを知りたいのであれば、それでも劇場版から観ることを薦めたい。

 『ジークアクス』のテーマでもある「ニュータイプ」についてテレビ版以上に深く掘り下げられているし、素晴らしい追加シーンの存在と絶妙な再構成のおかげで、総集編とは思えないクオリティの作品に仕上がっている。今回紹介した変更点を念頭に置いて観れば、初代ガンダムの物語をしっかり堪能できるはずだ。

 もし劇場版を観てさらに興味を持ったなら、それからテレビアニメ版の全43話を観れば、『機動戦士ガンダム』という傑作を二度楽しめるに違いない。

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