■鉄華団が見た夢の果てに待っていたものとは…『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』
テレビアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の結末も、シリーズ屈指の過酷さで知られる。
本作は、火星の過酷な環境のもとで生きる少年兵たちが、大人たちによる支配と搾取に抗い、自らの居場所と誇りをつかみ取ろうとする物語。
主人公の三日月・オーガス(ミカ)は、彼とは昔から兄弟のような深い絆で結ばれているオルガ・イツカと民兵組織「鉄華団」を結成。いくつもの任務を成功させながら勢力を拡大し、不条理な世界を力でのし上がっていく展開に、多くの視聴者が胸を熱くした。
しかし物語の終盤、その栄光は音を立てて崩れ始める。政治的陰謀と権力闘争の中で彼らの革命は失敗に終わり、鉄華団はテロ組織として追われる立場に。そして仲間たちを守るために奔走していた団長のオルガも、逃亡計画を決断した矢先に銃撃され、志半ばで命を落とす。
そして残された三日月は、他の団員を生かすために自らしんがりに立ち、昭弘・アルトランドとともに最終決戦に臨む。
目を赤く充血させ、頭からは大量の血を垂れ流し、限界をとうに超えた肉体で、ガンダム・バルバトスを操る三日月。だが、ついに数の暴力の前に力尽き、バルバトスの頭部は敵の勝利の証として高々と掲げられるのだった。
物語のラストでは、生き延びた元鉄華団の仲間たちと、三日月とアトラ・ミクスタの間にできていた息子・暁の姿が描かれ、未来への希望が提示される。
しかし、そこには三日月やオルガの姿はない。鉄華団という戦うことしか知らなかった少年たちの“夢の果て”としては、あまりにも切なく悲しい結末に感じられた。
英雄的な勝利や爽快なハッピーエンドではなく、何らかの喪失や死をもって幕を下ろした主人公たちを振り返った。いわゆる「バッドエンド」という見方もできる悲しい結末ではあるが、それもまた『ガンダム』シリーズらしい終わり方といえる。
たとえ報われずとも、歩みを止めなかった者たちの物語は心に残る。皆さんの胸に残る印象的な最終回といえば、どのガンダム作品を思い浮かべるだろうか。