■とんでもない戦果を挙げた「衝撃のボール」

 奥深い『ガンダム』シリーズの世界には、さらに驚くべき戦果を挙げたボールが存在する。それが長谷川裕一氏のコミック『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』(KADOKAWA)に収録された、「バカがボオルでやってくる!」に登場する「機動戦士Bガンダム」と呼ばれる機体だ。

 舞台は、一年戦争におけるソロモン要塞攻略戦。当時連邦軍のパイロットだった自称ニュータイプの「ウモン・サモン」は、ボール(RB-79)での出撃を命じられる。

 厳しい戦況下でどうすれば生き延びられるか思案したウモンは、自分のボールを現地改修。ボールの前面に、ガンダムの顔を模した追加装甲を取りつけるという暴挙に出る。

 こうして生まれたガンダム顔をしたボールこそが「Bガンダム」である。この頃のジオン兵にとって、ガンダムは「連邦の白い悪魔」と恐れられた存在だった。そのイメージを利用し、ガンダム顔を前面に押し出した外装による心理的効果を狙ったのである。

 しかし、中身は素のボールのままであり、追加装甲をつけたことで機体の重量バランスはめちゃくちゃに。一度バランスを崩すとクルクル回転するというありさまだった。

 そんな問題だらけの機体だったが、まさかの威嚇効果が功を奏す。ウモンの運の良さと、抜群の操縦センスによる影響もあったが、ウモンのBガンダムはリック・ドムを合計6機も撃墜する驚異の戦果を挙げた。

 この成功体験により、ウモンはハッタリを重要視するようになり、それから約50年後「クロスボーン・ガンダム」にドクロマークをつけることを勧めていた。


 物語の都合上、どうしてもやられメカのイメージが強かった「ボール」。初代『ガンダム』では最弱MSといわれることもあるが、外伝作品などで伝説的な活躍が描かれたボールまでいたことに驚かされる。ガンダム好きの皆さんはボールに対し、どのような印象を抱いているだろうか。

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