■名称が大混乱…
ザクは、ガンダムファン以外にもよく名を知られているモビルスーツだ。性能はそれほど高くはないが、さまざまなバリエーションがあり、数多くの機体が作られている。特に有名なのは赤い塗装が印象的な「シャア専用ザク」だろう。ほかにも「ザクII改」や「ハイザック」などの性能の高いザクも作られている。
その中で紛らわしい名称となっているのが、「Zタイプザク」と「Zザク」の2種類だ。一見すると、ZザクはZタイプザクの略称のように感じてしまうが、この2つは似て非なるものである。
Zタイプザクは『MSV』に登場した機体で、ジオン軍が開発したニュータイプ専用試作型モビルスーツのことである。「Zタイプザク」というのはあくまでも通称であり、「サイコミュ試験用ザク」というのが本当の名となっている。
さらに、モビルスーツにサイコミュシステムを搭載するための「ビショップ計画」に基づいて開発されていたため、「ビショップ」と呼ぶ者もいて、名称が混乱している状態だ。こうした状況から「Zタイプザク」の名称は一般的ではなく、Zザクと混同してしまう人も多かった。
Zザクはガンダムファンにはおなじみの、異色中の異色ともいえるモビルスーツである。『機動戦士ガンダムZZ』の第12話で登場する、「Zガンダムの頭をザクIIのものに付け替える」というとんでもない発想から生まれた機体だ。とにかくインパクトが大きく、違和感ありすぎのモビルスーツとして語り継がれている。
「Zザク」はファンが使用する愛称だが、公式では「Zガンダム(ザク頭)」や「ザク頭Zガンダム」といった名称が使用されることもある。こちらの名称であれば、Zタイプザクとの混同も避けられるはずだ。しかし、あまりにもシュールすぎる見た目ゆえに、「Zガンダム」ではなく「Zザク」と呼んでしまう気持ちも分からなくはない。
膨大な種類がある上に、「機体番号」、「メーカーがつける名称」、「ファンがつける愛称」などの複数の呼び方があるために、時に混乱が起こってしまうモビルスーツの名称や設定。
早くそれらを完璧に理解できるようになりたいと思う一方で、複雑な設定を学びながら真のガンダムファンに近付く過程もまた楽しい。そうしたモビルスーツの奥深さも、本作の魅力といえるだろう。