
1983年に登場し、当時の子どもたちを虜にした『ファミリーコンピュータ(ファミコン)』(任天堂)。ファミコン時代には数多くのソフトが発売され、特に友だちや家族との対戦ゲームには熱中したものである。顔を合わせてコントローラーを握り締め、声を張り上げて一喜一憂した記憶が蘇る。
そんなファミコン時代の対戦ゲームといえば、「それは反則だろ?」と思ってしまうようなキャラやチームが存在した。そこで、仲間内で使用禁止になるほど強すぎた、ファミコン対戦ゲームのキャラやチームを振り返っていこう。
■やりたい放題の毒ガス!? 原作と違って最強だった『キン肉マン マッスルタッグマッチ』の「ブロッケンJr.」
1985年11月にバンダイ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『キン肉マン マッスルタッグマッチ』は、ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏)が誇る大人気漫画『キン肉マン』を題材にした対戦アクションゲームだ。
本作では8人の超人からタッグを組む2人を選び、バトルを繰り広げていく。リング上でパンチやキック、バックドロップなどを繰り出し、ミート君が投げる「命の玉」を取るとキャラ固有の必殺技が使える。たとえばウォーズマンはスピードが最も速く、バッファローマンは総合力が高い……など、キャラごとに技のパワーや移動スピード、必殺技の威力が異なるのも面白かった。
その中でも、ステータスが低く最弱とされていたのが「ブロッケンJr.」だ。だが、彼の必殺技「ナチスガス殺法」は、ダメージ自体は低いものの相手は動けずにダウンしてしまう効果があり、さらに、射程距離にも制限がなく、ジャンプ中の相手にも有効だった。
起き上がったときに再度攻撃できる、いわゆる“ハメ技”として連続ダメージを与えることもできたので、仲間内では使用禁止となっていた。
インターネットが普及して以降、全国的に“ブロッケン禁止”の独自ルールが存在していたことをあとから知り、驚いたものである。
ただ、このブロッケンJr.も、すべてが完璧というわけではなかった。そもそも命の玉の有効時間も短く、いくらハメ技とはいえ毒ガス攻撃自体の威力が弱いため、一回で倒せるわけでもない。熟練者相手となると、ドロップキックからバックドロップのハメ技を食らってしまい、逆にあっという間にやられてしまうこともあった。
ちなみに、筆者たちはテリーマンも禁止にしていた時期があった。必殺技の「ブルドッキングヘッドロック」は、ジャンプ中の相手を巻き込むため、うまくやればハメ技にもなるし、毒ガスよりも威力がある。禁止でなければおすすめのキャラクターでもあった。
■その強力打線はズルい! 初代『ファミスタ』関西電鉄連合「レールウェイズ」
1986年12月にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『プロ野球 ファミリースタジアム』。本作は、当時のプロ野球球団をモチーフにしたチームと選手データが採用され、打撃や投球だけでなく守備も操作可能に。少年野球チームに所属していた筆者にとっては夢のようなゲームだった。
一人でも楽しめるが、なんといっても対戦プレイが燃えた。大阪在住の筆者の周囲では、阪神タイガースがモデルのTチーム「タイタンズ」を選ぶ友人が多かった。前年優勝した成績も反映されていたのか、「ばあす」「かけふ」「おかだ」の爆発的なクリーンナップや、1番「まゆみ」も長打力があり、まさに猛虎打線といえた。
しかし、本作の最強打線は同じ関西のRチーム「レールウェイズ」であった。これは、南海ホークス、阪急ブレーブス、近鉄バファローズの3球団をひとつにしたオリジナルチーム。関西ではおなじみの電鉄連合だ。
このRチームの打線だが、俊足の「おおいし」と、走攻守揃った「まつなか」から始まり、クリーンナップは「でひす」と「ぶうま」の長距離砲、オールラウンダーの「みのだ」と隙がない。
さらに、長打のある6番「やまもと」、7番「むらかみ」、捕手の「なしだ」へと続き、代打陣も主砲クラスの「かどた」「いしみね」「かねむら」に加え、世界の盗塁王「ふくもと」と、豪華すぎるラインナップ。まさに反則級のメンバー構成なので、こと打線に関しては他チームとの戦力差が激しかった。そのため、対戦時に「使用禁止」とすることも多かったのだ。
『ファミスタ』をやり込んでいたプレイヤーほど、「レールウェイズ」を禁止としていた人は多かったのではないだろうか。逆に、実力差のある相手との対戦時には、ハンデとして使用を許可するケースもあった。