■豪華すぎるキャスト! 実写版ではどうなった?

 2018年に公開された実写映画『ママレード・ボーイ』は、光希役に桜井日奈子さん、遊役に吉沢亮さんが抜擢された。そして「両親S」には光希の母・留美役に檀れいさん、父・仁役を筒井道隆さん、遊の母・千弥子役に中山美穂さん、父・要士役に谷原章介さんが起用され、豪華すぎるキャストに話題が集まった。

 実写版での見どころは多々あるが、作中屈指の名シーン「保健室のキスシーン」が、原作と大きく違っていたことも注目すべき点だ。

 原作漫画では体育の授業でバスケットボールが顔に当たり意識を失った光希が保健室に運ばれ、お見舞いに来た遊が寝ている彼女にキスをするシーンになっていた。これは同居間もない頃の出来事であり、混乱しつつも光希が遊を意識するきっかけにもなった重要なシーンでもある。

 しかし実写版では、原作にもある学祭でのテニスの試合で遊と銀太が共闘するシーンで、相手選手のラケットが飛んできて光希は負傷。そこへ遊が駆けつける展開へと変わっていた。

 ほかにも、光希と銀太のキスシーンは未遂に終わっていたり、銀太の告白シーンがテニスの試合中に盛り込まれていたりと、原作漫画からアレンジされているシーンは多い。

 印象的だったのが、光希と遊が最後の旅行へ出かけた際のワンシーンだ。部屋の前で「おやすみ」と言ったあと遊が光希を自分の部屋へ引き入れるのだが、このシーンでは原作漫画にはないオリジナル展開があるので見逃せない。

 とはいえ、実写版の結末も原作同様、両親Sから真実を明かされる展開で、光希と遊は晴れて恋人同士になるハッピーエンドを迎えている。

 

 こうして見ると、アニメ版も実写版も原作と同じハッピーエンドで終わっている『ママレード・ボーイ』。異母兄妹疑惑でつらい思いをした光希と遊だけに、真相が明かされてホッと安堵する結末となり、本当に良かったと思う。ちなみに、続編『ママレード・ボーイ little』では幸せそうな同棲生活を送る2人のその後の姿が描かれており、感慨深く見守ったファンも少なくないだろう。

 アニメ版、実写版ともにオリジナルの展開やキャラクターが加わり、原作とは異なる魅力も楽しめる。ぜひ、この機会に原作漫画と比較しながら、各バージョンの違いを楽しんでみてほしい。

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