■ヘルシーな料理に最適? リククラゲ
かつて登場したポケモンが、新たなシリーズではまるで異なった姿で登場するのも『ポケモン』シリーズの醍醐味だ。
なかでも、見た目、名前も瓜二つだが、まったく異なった生態でプレイヤーを驚かせたのが、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』で初登場した「リククラゲ」だ。
ノノクラゲが進化した姿なのだが、これまでのシリーズを知っているプレイヤーにとっては、初代から登場しているメノクラゲ、ドククラゲが想起されることだろう。
彼らにかなり似たビジュアルを持つリククラゲだが、“きくらげポケモン”の名の通り「きくらげ」をモチーフとしており、クラゲというよりキノコに近い特性を持っている。
ポケモン図鑑には「裾の ヒダは 珍味で 人気」と記述されており、作中では食用として有名な存在らしい。
ちなみに、進化前のノノクラゲに関しても、「ノノクラゲとキュウリの酢の物」という一皿が登場していたりと、どうやら全身がくまなく食材として活用できるようである。歯ごたえの良さが売りのようで、ちょっとしたおつまみとしては最適かもしれない。
■スイーツ好きの強い味方…タルップル
これまでは体の一部を食材として活用するポケモンたちを紹介してきたが、なかには、調理後のお菓子をモチーフとしたポケモンも登場している。
それが、『ソード・シールド』で初登場した「タルップル」だ。
カジッチュが「あまーいりんご」を食べて進化した姿で、小柄な緑のドラゴンでありながらりんごを彷彿とさせる丸いシルエットが特徴的。茶色い背中や網目のような模様から、まさにお菓子の「アップルパイ」のようだ。
彼らはりんごを食べて進化したことから体が甘い蜜に覆われており、これを利用して獲物をおびき寄せるという、理にかなった習性を持っている。
そんなタルップル、「せなかの かわは とくに あまく むかしは こどもの おやつだった」とポケモン図鑑にあるが、背中の茶色いパイのような部分が食材として昔から利用されてきたようである。
皮の艶やかな色合いから、思わずその食感と甘さを想像してしまう、スイーツ好きにはたまらないポケモンだ。
シリーズを追うごとに思わぬ生態が明らかになるポケモンたちだが、生活のパートナーだけでなく、さまざまな形で人々の食卓をも支えている。
家庭料理の定番から、名物、ちょっとした珍味に至るまで、食材としての活用方法や価値も実に多種多様だ。どれも初見では驚かされてしまう事実ばかりだが、意外な設定が随所に盛り込まれている点も、『ポケモン』シリーズの醍醐味の一つだと言えるだろう。