■滑稽な踊りで酔っぱらい怪獣に水をぶっかけるウルトラマンタロウ
『ウルトラマンタロウ』第48話「日本の童謡から 怪獣ひなまつり」では、酔っぱらい怪獣・ベロンが登場する。
町中がひなまつりムードのなか、突如現れたベロン。手には大きなひょうたんを持ち、千鳥足で歩いており、登場時からすでに酔っぱらい状態だった。
本人にその気はないのかもしれないが、大きな体でふらふらと歩くため、町がどんどん破壊されていく。挙げ句の果てにベロンは座り込み「酒を持って来ーい」と言い放った。その姿は、夕暮れ時のサラリーマンそのものである。
ベロンは、もともと宇宙人のファイル星人がペットにしていた怪獣だ。ファイル星人たちはベロンをなんとか連れて帰ろうと躍らせて眠らせようとしたり、もっと酒を飲ませようとしたりするが、逆にベロンは悪酔いして暴れ出してしまう。
そこへ東光太郎がウルトラマンタロウに変身し登場。タロウは投げ、パンチ、キックと一方的に攻撃するが、一方のベロンはタロウに「踊ろうよ~」と無茶ぶり。
これをなぜか快く受け入れたタロウ。額近くに拳をあげ、スキップするような奇妙な踊りを披露する。「あらよっと」なんて掛け声が聞こえてきそうな滑稽さで、最後はくるっと回ってポーズを決める。だが、この踊りはかえってベロンの怒りを買ってしまい、炎を吐かれることとなるのだが……。
最終的にタロウは、ウルトラブレスレッドで大量の水が入った大きな「ウルトラバケツ」を作り、ベロンの酔いを醒まそうと容赦なく全身にぶっかけた。するとベロンは疲れて眠ってしまい、ここで騒動は収束する。ちなみにその後、タロウは怪獣を宇宙へと連れて帰ってあげていた。
それにしてもなぜタロウはあの踊りをしたのだろうか……一度聞いてみたいものだ。
地球を守るため、真剣に怪獣と対決してきた昭和のウルトラマンたち。そんな中で、時折挟み込まれるコミカルなシーンは印象に残りやすく、当時の子どもたちも面白がって視聴していたのではないだろうか。
筆者としてはジラースとの対決エピソードが特に記憶に残っていたが、大人になって見返してみると、悲惨な最期を迎えるジラースが可哀そうに思えてしまった。