■私は女だから気持ちが丸わかりだぜ!……あれ?

 もうひとつ、ときメモ初心者の私が度肝を抜かれたポイントがある。それは先述した「パラメータ」を上げて、女の子に好かれにいくというシステムだ。

 私はお目当てのキャラとの会話を楽しみ、最適な選択肢を選ぶことでクリアをめざす「ノベルゲーム」と「恋愛シミュレーションゲーム」はイコールだと思っていた。だが『ときメモ』は違う。女の子とデートして、彼女たちを喜ばせる会話をしていくイベントも存在するが、ベースとして「主人公のパラメータを上げる」ことが非常に重要になる。

パラメータの向上はヒロイン攻略に必要不可欠だ。 ©2025 Konami Digital Entertainment

 パラメータには学力、容姿、運動、雑学などのジャンルがあり、それらの数値をあげることでお目当ての女の子に気に入ってもらえるのだが、この値がとってもリアル。「学力・運動」とかはまだ分かるが、「容姿・雑学」もあるんだ……と最初は驚いてしまった。頭が良くて運動ができたとしても、身なりに気を使っておらずコミュニケーション能力がなかったらモテないのが『ときメモ』の世界。これ、あまりにも現実世界にも通じ合いすぎませんか?

 また、パラメータ「だけ」上げればいいという訳でもなく、もちろんお目当てのキャラクターとデートを重ねて会話を楽しむというコミュ力も大事である。このバランス感覚が絶妙で、ゲームとしてすごく面白い。

「私は女だから、女の子たちが求めている答えが丸わかりだぜ!」と確信していたが、普通に間違った選択肢を連発してキモがられていたりしたので、『ときメモ』は奥が深い。とにかく「自分磨き」を怠らず、他人とスムーズに会話をできる能力の大切さをひしひしと感じ、なぜ私がこの30年間全くモテなかったのかという理由も何となく分かった。

■告白してきたのはなんと……八方美人があだになる⁉

最終的に告白されたのは美樹原愛! ©2025 Konami Digital Entertainment

 初心者ながら夢中でプレイしていたら、あっという間に3月の卒業シーズンに。卒業式では告白イベントが発生するが、誰に告白するかをプレイヤーが選ぶのではなく、自分に最も好意をもっている女の子が告白してくるシステムだ。そしておそらく拒否制度はなく、告白されたらマストでカップル成立となる。

 私は詩織ちゃんめがけて日々自分磨きを頑張っていたが、結局「美樹原愛ちゃん」という詩織ちゃんの親友から告白されてしまった。美樹原ちゃんもめちゃくちゃ可愛いので、八方美人に優しく対応していたのがあだとなった……! と悔しがってはみたものの、必死に告白してくれる美樹原ちゃんを見ていると、「うまくいかないけど、これはこれでいいか……」と思えてきた。

 そのまま美樹原ちゃんとの今後のお付き合い、結婚、子育て、死が二人を分かつその瞬間まで妄想しながらエンディングまで楽しんだ。

 初回のエンディングとしては文句がないが、すぐに「やっぱり詩織ちゃんと結婚するんだい!」と2周目を始めてしまうくらい魅力的なゲームだった。

 『ときメモ』は令和でも色あせない名作だ。私のような『ときメモ』世代でない年齢層の人間も、ぜひプレイしてみてほしい。そして人生を感じてほしい。

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