
一気に気温が上がり、夏の足音を感じる今日この頃。そんな「夏」といえば、やはり身の毛もよだつ「ホラー」だろう。怪談集『百物語』が江戸時代にブームになったように、日本人は古来よりオバケや幽霊が登場する“怖い話”を恐れながらも愛してきた。
その伝統は現代のゲームにも受け継がれており、国民的RPG『ポケットモンスター』シリーズにも、チビっ子たちをゾクッとさせるホラー要素が散りばめられている。初代『ポケットモンスター 赤・緑』の「シオンタウン」を皮切りに始まったホラーイベントを攻略していくのも、本作の醍醐味であろう。
そこで今回は比較的近年の『ポケモン』ゲームの中から、暑い夏も、熱いポケモンバトルも凍りついてしまうような「ホラーイベント」を紹介していこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■ポルターガイストと不気味な少女が待つ『BW2』ストレンジャーハウス
まずは、2012年に発売された『ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2(BW2)』から、怪奇現象が起こる廃墟「ストレンジャーハウス」だ。
このダンジョンには伝説のポケモン・クレセリアを捕獲するアイテム「みかづきのはね」が落ちているため、突入したプレイヤーは数知れず。その多くにトラウマを刻み込んだいわく付きのホラースポットである。
ストレンジャーハウスでは不気味なBGMが鳴り響く中、さまざまな現象に遭遇する。たとえば、部屋に入ると肖像画が勝手に落ちたり、家具の配置が変わったりする。物がひとりでに動く「ポルターガイスト現象」だ。
中にいるNPCに話を聞いても“動かしているのは自分じゃない”と言うだけ。そこは嘘でもいいから「イタズラです!」と言ってほしい……。
さらに探索を進めると、住人らしき少女が現れる。彼女は「おとうさん おかあさん ケーシィ どこ なの……?」など独り言をつぶやくと、何度か点滅をくり返して消えてしまう。
その後「みかづきのはね」を手に入れると、再び現れる少女。「いつか ポケモンさんに その はねを かえしてあげて あたしが できるのを まっていた あの はしの うえで」と、意味深なことを主人公に伝えて消えてしまう。それからはもう二度と現れない。
こうして手に入れた「みかづきのはね」を、大きな橋の「ワンダーブリッジ」に持っていけば、クレセリア登場イベントが発生する仕組みだ。
これは余談だが、前作『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』では、夜の「ワンダーブリッジ」に海を眺める女の子が現れる。話しかけると返事はなく、何度か点滅して消えてしまう。まるで「ストレンジャーハウス」の女の子のように……。
さらに橋のゲートにいる老婆からは、“ケーシィといつも遊んでいた女の子がいた。あんなに元気だったのに”と、不穏な情報まで得られる。
はたして彼女は何者なのか、すでに亡くなって幽霊になっているのか、「ストレンジャーハウス」と「ワンダーブリッジ」で何があったのか、クレセリアとはどんな関係なのか……それは誰にもわからない。