平成女子がドキドキした…90年代少女漫画「探偵ミステリー」名作 2013年に事件の真相が分かった作品も…の画像
CLAMP PREMIUM COLLECTION『CLAMP学園探偵団』(KADOKAWA)

 探偵ものの漫画のヒット作といえば、1992年に週刊少年マガジン(講談社)で連載開始した『金田一少年の事件簿』や、『週刊少年サンデー』(小学館)の『名探偵コナン』などが有名である。

 どちらも少年漫画誌による連載作であり、この他にも『Q.E.D. 証明終了』『探偵学園Q』『スパイラル 〜推理の絆〜』など推理・探偵ものの漫画は少年誌に多いイメージだ。

 一条ゆかり氏による『有閑倶楽部』や、近年では田村由美氏による『ミステリと言う勿れ』など、少女漫画にもサスペンス・ミステリーをテーマにしたヒット作は少なからず生まれているが、少女漫画誌に探偵がいないかといえば、そうではない。80年代頃から起きた新本格ブームによって、漫画にもミステリー作品が増えていった中、90年代から2000年代にかけて少女漫画誌でも探偵漫画が生まれた。どのような内容だったのか、いくつかをピックアップして振り返ってみたい。

■身近な事件を解決した少女漫画の探偵たち

 まずは、1992年から『月刊Asuka』『ミステリーDX』(角川書店)にて連載されていたCLAMPによる『CLAMP学園探偵団』。生徒会役員の優秀な少年らが学園内のトラブルを解決するという内容のコメディ作品だ。1997年からはテレビアニメ化もされたため、少女誌読者以外にも知られた作品ではないだろうか。

 ここまでのあらすじだと『有閑倶楽部』を彷彿させる内容であるが、高校が舞台の『有閑』とは違って、『CLAMP学園探偵団』は小学校が舞台。遭遇するのは幽霊事件や盗難事件などで、物騒なものは少ない。また主人公の妹之山残が「女性のために」というポリシーを持っているため、いずれも女性の困りごとを解決する内容となっている。

 CLAMPの作品は他作品とリンクすることも多く、主人公3人組は『ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE-』や『X』にも登場しているため、『CLAMP学園探偵団』を知らなくても3人のキャラを知っているという人も少なくないはず。

 なお、新規描き下ろしのカバーイラストやカラー収録などを使用したCLAMP作品新装版シリーズ『CLAMP学園探偵団』が2025年から刊行中。CLAMP初期の名作をこの機会に読み直してみるのもおすすめだ。

 同じ時代の作品では、1995年から『なかよし』(講談社)で連載されていた野村あきこ氏による『プライベート・アイズ』も、ミステリーブームを象徴する少女漫画探偵作品だ。

 全寮制の女子校で、ずっとルームメイトが見つからずにさみしい思いをしていた主人公のもとに、待望の転校生のルームメイトが現れる。しかしそのルームメイトは、実は男の子だった。彼はスパイで、学園内で起こる理事長派と学園長派の派閥争いを調査するために身分を偽ってやってきたのだった。

 ここまでのあらすじだと、よくある夢のような設定の少女漫画のように思えるが、学園内の派閥争いはやたらリアルで、事件の推理もなかなかに本格的。殺人こそ起きないものの大人の思惑が交錯する本格ミステリー作品だった。

 さらにはキャラクターもみな魅力的で、主人公やルームメイトの男の子だけでなく、憧れの先輩2人組など、全3巻にしては内容が濃いのもポイント。いい意味で『なかよし』連載作品とは思えない、後半のスリルな展開と意外な結末が魅力的な作品だ。

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