■00年代『ちゃお』からも誕生した探偵
2000年になって以降でいえば、同年から『ちゃお』(小学館)で連載されていたおおばやしみゆき氏による『きらきら☆迷宮』を覚えているという読者も多いはず。
主人公は全寮制の女子高に通う極度の男嫌いの女の子。そんな彼女の元へ、ルームメイトとして女装した男の子・富士見きらがやってくる。ここまでは前述した『プライベート・アイズ』と似た設定だ。
きらの目的は姉の自殺の真相を探ること。2人は徐々に友情を結び、学校で起こる事件を解決しながら死の真相に迫っていく。
しかし残念ながら、本編の連載は姉の死の真相に迫る前に終了してしまった。続編である番外編が連載後に掲載されたものの、こちらも姉の死の原因がわかるものではなかった。
だが、2013年に、なんと作者であるおおばやし氏が自身のX(当時はツイッター)で、この姉の死の事件の真相について語っている。姉はやはり自殺ではなく、ある先生によって殺されていたというのだ。
今となってはどこでも読むことができない結末であるが、10年以上の時を経て真相が知ることができたというのは、リアルタイムのファンにとってはとんでもない衝撃だっただろう。
少女漫画の中でも特に対象年齢層が低めの少女漫画においては、『金田一』や『コナン』のような直接の殺人描写や連続殺人が描かれることは少ないのが印象的である。また前述したように、事件というよりも学校内で起きるものなど身近な問題を解決することが多い。
少女漫画における探偵ものは「憧れのドキドキする非日常」という意味合いもあるのかもしれない。今回は中でも低年齢層向けの作品を紹介したが、単に推理をするというだけではない、恋愛や冒険のドキドキ要素こそが少女漫画で探偵ものを描く意味となっているのだろう。