■彼の正体は!? 元祖異世界ものプリンスという立場も魅力
『ときめきトゥナイト』の序盤は魔界人の少女・蘭世を中心とした織りなすラブコメディだったが、物語が進むにつれ、謎めいたファンタジー作品へと展開していく。
登場当初は俊も普通の男子中学生だったが、その正体は王妃とともに追放された魔界の王子で、さらには前世でも蘭世とは恋人だったことが明らかとなる。
こうした展開は今でいう“異世界もののラブストーリー”であり『ときめきトゥナイト』はそうした作品の先駆け的存在といえるだろう。単に無口でクールなイケメンとしても俊は魅力的だが、その前世は二千年前の魔界の王子・ジャン=カルロの生まれ変わりで、ヒロインとは大昔から結ばれる運命にあったのだ。こうした設定も、ますます俊の魅力を底上げしていたように思う。
また俊は人間界に追放されて以来、母一人子一人の母子家庭で育ってきた。母親思いの心優しい一面も持っており、プロボクサーになるためにひたむきに練習する姿もカッコ良かった。
一方、蘭世と両想いになったあとは急に「なんなら今夜 おれのところにくるか」といった大人びたセリフも口にしており、ここぞという時には男らしくリードするところも堪らない。
今読み返してみても、女心をくすぐる存在である俊。これからも読者を存分にときめかせ、魅了していくのだろう。
池野氏は多くのファンから“真壁くんが初恋でした”、“運命の相手に出会えると思ったのに私の前には現れなかった”、“真壁俊のせいで結婚できなかった”といったメッセージをもらってきたという。ここまで読者に多くの影響を与えるプリンスキャラは、数多くの漫画界においても珍しい。
そんな俊の活躍は、冒頭でも紹介したように『ときめきトゥナイト それから』にて現在でも楽しめる。アラフォーになった俊は相変わらずカッコ良く、渋さすら感じられる。“真壁くん”のその後を知りたい人は、ぜひご覧いただきたい。