サイヤ人らしからぬ優しすぎる性格…『ドラゴンボール』悟空の母親・ギネってどんな人?の画像
[DVD]『ドラゴンボール改』第1巻 ©ハピネットピクチャーズ

 『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空の父親といえば、顔もそっくりなサイヤ人の戦士・バーダックが広く知られている。では、悟空の“母親”についてはどうだろうか? 長年のファンでも、即座にその名を挙げられる人は意外と少ないかもしれない。

 悟空の母親の名前は「ギネ」という。原作ではほとんど触れられてこなかったが、後年、原作者・鳥山明さんによってその設定が明かされ、スピンオフや続編作品にも登場している、れっきとした公式キャラクターである。

 今回は、悟空のルーツとも言える母親・ギネにスポットを当て紹介したい。彼女の存在を知れば、無敵のヒーロー・悟空も、これまでとは少し違ったものに見えてくるはずだ。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■ギネの初登場はいつ?

 バーダックの妻にして、長男・ラディッツ、そして次男・カカロット(悟空)の母親であるギネ。原作漫画ではその存在こそ示唆されていたが、バーダックとは異なり、長年、登場はおろか名前すら明かされていなかった。

 そんなギネが公式に登場したのは、原作連載終了から20年後。2014年の『最強ジャンプ』(集英社)3月号の付録冊子にて、鳥山さんが質問に答える形で設定が明かされた。そして、同年4月に発売された『銀河パトロール ジャコ』のおまけ読切『DRAGONBALLー(マイナス)放たれた運命の子供』で、初めてその姿が描かれる。

 その後、2018年公開の映画『ドラゴンボール超 ブロリー』では、アニメーションでの初登場を果たし、さらに近年でも漫画『ドラゴンボール超』の「生残者グラノラ編」にて回想シーンで登場。その他、ゲームなどにも登場するようになり、徐々に“悟空の母”として認知されるようになってきている。

■若々しさと母性を兼ね備えたギネのビジュアル

 ギネは、ラディッツとカカロットという2人の子どもを持つ母親でありながら、青年期が長いサイヤ人の特性もあってか、その外見は非常に若々しく見える。

 大きなツリ目と無造作に広がったセミロングの黒髪が印象的で、サイヤ人特有の尻尾も生えている。体型は筋肉質で引き締まっているが、小柄でどこか華奢な雰囲気だ。戦闘服はストラップ型の旧式ジャケットにスカートをあわせたスタイルで、戦士でありながらも女性らしさを感じさせるビジュアルとなっている。

 また、“サイヤ人の髪は生まれたときから生えきっており、生涯変化しない”という設定があるが、悟空は父・バーダックの髪型を、兄・ラディッツは母・ギネの髪型をそれぞれ受け継いでいるようだ。こうした外見の共通点も、ファンにとっては見逃せないポイントだろう。

■サイヤ人らしからぬ、優しすぎる性格

 ギネ最大の特徴は、その性格にある。なんといっても彼女は、戦闘民族サイヤ人には極めて珍しい「優しい穏やかな心」の持ち主だった。

 男性同様、一般的にサイヤ人の女性も非常に好戦的で、たとえばTVスペシャル『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦 〜フリーザに挑んだZ戦士孫悟空の父〜』に登場したセリパや、『ドラゴンボール超』のカリフラ、さらにはケールなど、いずれも戦闘に強い関心を持ち、闘争本能を剥き出しにして戦う描写が多い。とくにケールは当初こそ気弱な性格だったが、超サイヤ人に覚醒した途端にその性格も豹変し、凶暴性すら見せていた。

 そんななか、ギネの温厚さは異質といえるだろう。鳥山さんの説明によれば、ギネはかつてバーダックと同じ戦闘チームに所属していたが戦闘には不向きな性格で、たびたび彼に助けられていたという。そのうちに彼に恋心を抱くようになり、漫画で描かれたカカロットが生まれた頃には、配給所で働くようになっていた。

 カカロット、すなわち悟空は幼少期に頭を強く打ったことがきっかけで温和な性格に変わったという設定があるが、そもそも彼の内面に流れる穏やかな気質はギネから受け継がれたものだったのかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3