■第2位:ぶりっ子からの怒号『今日から俺は!!』

 西森博之さん原作のヤンキーギャグ漫画を実写化した『今日から俺は!!』では、橋本さんはスケバン・早川京子(はやかわきょうこ)を演じた。ドラマ版に加え、劇場版でも数々の豪快な変顔を披露してきた橋本さんだが、なかでも強烈なインパクトを残したのがドラマ第2話の変顔だ。

 恋仲である伊藤真司(伊藤健太郎さん)に「ツッパリは辞めた」と言っていた京子。だが、喧嘩の現場に居合わせ、伊藤さんにバレそうになった京子は、とっさに「演劇の練習だった」と嘘をついてぶりっ子全開で誤魔化そうとする。ところが、後輩スケバン・川崎明美(若月佑美さん)は「さっきまでボコボコに蹴り倒してたじゃないすか!?」と、呆れて反論してしまう。

 伊藤が立ち去ったのを確認した京子は、態度を一変。「明美ィ! 空気読まんかい! 空気を!!」と怒号を放つ。この際、橋本さんは目を剥き、口元を歪め、“鬼の形相”を披露。その振り切りぶりには、感動すら覚えてしまう。

■第1位:変顔の原点にして頂点『銀魂』

 堂々の第1位は、橋本さんの“変顔伝説”の原点にして頂点の変顔を披露した、空知英秋さん原作の人気ギャグ漫画を実写化した『銀魂』だ。

 本作で橋本さんが演じたのは、破天荒ヒロイン・神楽(かぐら)。来島また子(菜々緒さん)の股越しに変顔で挑発するシーンでは、“白目”、“しゃくれ”、“鼻ホジ”という変顔三連コンボを惜しげもなく披露。スクリーン越しに観客の度肝を抜いた。

 「奥深くまでエグって!」という福田雄一監督の無茶ぶりに対し、小指を鼻の中に深々と突っ込み、白目を剥いて応えるその姿には、もはや笑いを超えた女優魂を感じる。

 “1000年に一人の美少女”としてブレイク真っ只中にありながら、あえてそのイメージを破壊する方向に全振りした神楽役とこの強烈な変顔は、まさに彼女の俳優人生の転機となったと言えるだろう。

 

 橋本さんの変顔は単なるギャグではない。どんな役柄にも真正面から向き合い、体当たりで挑むその姿勢は、高いプロ意識の表れである。

 現在放送中の『天久鷹央の推理カルテ』では、サヴァン症候群を併発する自閉スペクトラム症の天才ドクターという、これまでとはまた一味違う難役に挑んでいる。“可愛い”だけでは終わらない、役者・橋本環奈の真価。その圧倒的な振り幅と表現力から、今後もますます目が離せない。

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