■数十年の時を経て描かれた新たな復讐劇…『メタルK』
前述した原氏のアシスタントとしても活躍し、自身も1987年から『ゴッドサイダー』を連載した巻来功士氏。圧倒的な画力、ダークな世界観が持ち味の名漫画家だが、その魅力が存分に発揮されたのが1986年から同誌で連載された『メタルK』だ。
両親を殺され、自身も火をつけられた少女・冥神慶子がサイボーグとして蘇り、壮絶な復讐劇を遂げていく……という内容の本作。
当時のジャンプ作品としては女性主人公というだけでも珍しく、さらに慶子の肉体が溶けてサイボーグとしての骨格が剥き出しになるなど、衝撃的な描写で読者の度肝を抜いた。壮絶な展開の数々にトラウマが残っている読者も多いのではないだろうか。
期待の異色作ともいえる本作だが、残念ながら連載自体はわずか10週で終了してしまう。
物語は心半ばで終わってしまったものの、一方でその唯一無二の作風に惹かれたファンも多く、まさに知る人ぞ知る作品として語り継がれていった。
そして、なんと後年になって巻来氏が、同人誌として続編『メタルK Legend』を執筆。本誌での連載終了から数十年越しの続編ということもあり、原作を知るファンたちは沸き立った。当時、続編の連載を切に願っていた少年たちの夢が、大人になった今、ついに叶うこととなったのだ。
2026年、巻来氏は『ジャンプ』連載40周年を迎える。その前夜祭として『メタルK Legend 復活編』発刊プロジェクトが進行中だ。その展開を楽しみにしているファンは多いだろう。
作者の個性が光る漫画作品だが、読者の期待とは裏腹にあまりにも短い期間で連載が終了してしまった作品も存在する。「これからなのに……」というタイミングでの突然の終了に、悔しい思いをした読者も少なくはないだろう。
だが、上述した『メタルK』のように、数十年の時を経て待望の続編が描かれることもある。隠れた名作たちの“その後”を、今後も楽しみに待ちたいと思う。