■微笑みが不気味だった『ゴールデンカムイ』の萩原聖人
『ゴールデンカムイ』は、金塊をめぐる壮大なストーリーや大迫力のバトルシーンが見どころの作品だ。実写映画では、山﨑賢人さんと山田杏奈さんをメインキャラクターとして、舘ひろしさん、玉木宏さんといった超豪華なキャスティングが話題となった。
映画の続編である『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』では、作中屈指の「変態」と名高い辺見和雄が登場する。辺見を演じたのは、若い頃からイケメン俳優としてさまざまなキャラクターを演じてきた萩原聖人さんだ。
辺見は、幼い頃弟がイノシシに食い殺されるのを目の当たりにした壮絶な経験を機に、大きく歪んでしまった快楽殺人鬼だ。“必死に抗ったすえに殺されたい”という願望を抱くようになった彼は、衝動に任せて人を殺し、相手の姿に自分を重ねて興奮するようになった。
そのため杉元との殺し合いのシーンでも、殺されるために全力で殺しに行くという異様な行動を見せる。杉元との出会いを「運命だ~」と喜ぶときの底の知れない笑顔や、戦いながらも浮かべる不気味な微笑みは、まるで漫画の世界から飛び出してきたかのような再現度だった。
萩原さんは「残りの役者人生でこういう役を演じることはもうないかもしれない」という思いから、この役を引き受けたと明かしていた。
最初から最後までぶっ飛んでいる辺見を演じ切った、萩原さんの表現力には脱帽してしまう。さらに驚くのは、萩原さんは原作を“あえて未読”の状態で撮影に臨んだということだ。「あんなに再現度高いのに?」と思わず突っ込んでしまうほどに完璧な演技だっただけに、俳優という職業の奥深さも垣間見えた。
イケメン俳優たちのイメージが一変してしまうほどの危険な演技には、思わず引き込まれる。彼らがそんな“怪演”を披露できるのは、高い演技力はもちろん、演じるキャラクターへの深い理解があってこそなのだろう。